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Judicial Branch - 最高裁をガラス張りに ① 2015年の夫婦同姓に関する最高裁判決について

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いつの時代を生きているのか、最高の懲りない面々…。

 

夫婦別姓認めない規定 合憲判断も5人が反対意見
NHKニュース 12月16日 17時15分

 明治時代から続く夫婦別姓を認めない民法の規定について、最高裁判所大法廷は、「夫婦が同じ名字にする制度は社会に定着してきたもので、家族の呼称を1つにするのは合理性がある」などとして、憲法に違反しないという初めての判断を示しました。一方、裁判官15人のうち、女性全員を含む裁判官5人が「憲法に違反する」という反対意見を述べました。(中略)
 一方、裁判官15人のうち女性裁判官3人全員と、男性の裁判官2人の合わせて5人が夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという意見を述べました。

 

安倍首相の「女性が輝く社会」「ウーマノミクス」で、女性の就業率を男性並みに押し上げ、GDP をブーストするといいながら、まったく働く女性たちの状況に寄りそう気持ちがないようにおもえる政治に、イラッと来ている人も多い。

 

wotopi.jp

 

「男並み」に働いて、そして「子供は三人以上の大家族」に産んで、といいつつ、男女の給与格差は大きく、子育て給付金はカットし、保育園などの待機児童の数は減らないし、非正規雇用の多くは女性だし・・・、

 

そのうえ「輝かないと」いけないらしいです。

で、挙句に別姓は認めません、

って。まあ、どんだけよ、ってなるわけですね。

 

ただ、今日は、こうした最高判決の日本の報道のありかたにも注目したい。海外のニュースを見慣れていると、ひどく気になることがある。日本のメディアは最高判官の個々の名前と発言をなぜ報道しないのか。

 

判官15人のうち女性判官3人全員と男性の判官2人のあわせて5人が、夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという反対意見を述べました」って。五人は誰? 10人は誰?

 

まず、日本のメディアが最高をブラック・ボックスにしないことから始めないと。例えば最高をガラス張りにすることなしには、三権分立の司法の役割を生かすことはできない。メディアの露出もすくなく、「日本の最高判官は何人いるか」の質問にちゃんと答えれることができる学生は少ない (~_~)オイオイ、という現実。

これで選挙の時に判官に 〇 × がつけれる?

 

本来、最高の判決は、社会の方向を大きく変えることができる。しかし日本の最高の役割、 (Judicial Review) がちゃんと機能しないのは、こうした、最高判官を、国民から遠い不可視のウォールのなかに囲い込んでいるからでもある。

 

最高裁:夫婦同姓規定「合憲」 再婚禁止6カ月「違憲」 - 毎日新聞

2015年12月16日 21時05

夫婦別姓を認めず女性だけに離婚後6カ月間の再婚禁止期間を定めた民法の規定違憲かどうかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、「100日を超えて再婚を禁じるのは過剰な制約で違憲」とし、「夫婦同姓規定には合理性があり合憲」とする初判断を示した。国の賠償責任は認めず、原告の上告はいずれも棄却した。最高裁が法律の規定を違憲としたのは10例目。

 

 両規定は「家」制度を定めた明治民法に盛り込まれ、戦後も引き継がれた。大法廷は夫婦同姓規定についても「制度の在り方は国会で判断されるべきだ」と言及し、家族制度全体の見直し論議を求めた。

 大法廷は、結婚や家族を巡る法的紛争は社会状況を踏まえ、それぞれの時代に応じて総合判断すべきだと指摘。再婚禁止期間の規定は「父親の推定の重複を避ける趣旨で設けられたもので合理性がある」とした。だが離婚や再婚の増加で「再婚の制約をできる限り少なくする要請が高まっている」と述べ、原告の女性が再婚を決断した2008年には「100日を超える部分は法の下の平等や結婚の自由を保障した憲法に違反していた」と判断した。国家賠償請求については「規定はこれまで違憲とはされておらず、国会が長期にわたり立法措置を怠ったとは評価できない」と退けた。

 一方、夫婦別姓訴訟で大法廷は、原告側が主張した「姓の変更を強制されない権利」を「憲法上保障されたものではない」と否定。同姓には家族の一員であることを実感できる利益があるとした。そのうえで「女性側が不利益を受ける場合が多いと推認できるが、通称使用の広がりで緩和されている」と指摘。夫婦同姓規定は「結婚を巡る法律に男女平等を求めた憲法には反しない」と結論付けた。

 そのうえで、選択的夫婦別姓制度について「合理性がないと断ずるものではない」と付言し、国会での議論を促した。

 再婚禁止期間は裁判官全15人が違憲とし、うち2人は禁止自体を違憲とした。夫婦同姓は10人が合憲とし、女性全3裁判官を含む5人が違憲とした。

 判決を受け、法務省は16日付で離婚後100日を超える婚姻届を受理するよう自治体に通知した。政府は早ければ来年の通常国会に再婚禁止期間を100日とする民法改正案を提出する。【山本将克】

判決骨子

・再婚禁止期間のうち100日を超える部分は、父親の推定のために必要とはいえない。婚姻の自由に対する過剰な制約として違憲

・家族の呼称を一つに定めるのは合理的。夫婦同姓で女性が受ける不利益は、通称使用が広まることで一定程度緩和されることも考慮すると違憲ではない

・選択的夫婦別姓制度の合理性を否定するものではない。結婚制度や姓の在り方は国会で論じられ、判断されるべきだ

15裁判官の判断

裁判官   出身  同姓 再婚禁止

寺田 逸郎(裁判官) ○  ▲

桜井 龍子(行政官) ▲  ▲

千葉 勝美(裁判官) ○  ▲

岡部喜代子(学 者) ▲  ▲

大谷 剛彦(裁判官) ○  ▲

大橋 正春(弁護士) ○  ▲

山浦 善樹(弁護士) ●  ●

小貫 芳信(検察官) ○  ▲

鬼丸かおる(弁護士) ▲  ▲

木内 道祥(弁護士) ▲  ▲

山本 庸幸(行政官) ○  ▲

山崎 敏充(裁判官) ○  ▲

池上 政幸(検察官) ○  ▲

大谷 直人(裁判官) ○  ▲

小池  裕(裁判官) ○  ▲

●は違憲・原告勝訴、▲は違憲・原告敗訴、○は合憲。寺田長官を除き就任順

 【ことば】夫婦別姓

 民法750条は「夫婦は結婚の際に定めるところに従い、夫または妻の姓を称する」と夫婦同姓を定める。法制審議会は1996年、夫婦が希望すればそれぞれの姓を名乗れる選択的夫婦別姓の導入を答申、国連の条約機関も見直しを勧告してきたが、「家族の一体感が損なわれる」などという反対論も根強く法改正は実現していない。

 
 

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再婚禁止期間と生まれた子の父親の推定

 【ことば】再婚禁止期間

 民法733条1項は「女性は離婚から6カ月経過後でなければ再婚できない」と定める。父子関係を安定させるための規定で、772条には結婚(再婚)から200日経過後に生まれた子は現夫(再婚夫)の子、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するとの規定もある。離婚から100日経過すれば推定は重ならないため、法制審議会は再婚禁止期間の100日への短縮を答申した。