働き方改革法案 ~ すばらしい名前とは裏腹な法案内容、ちゃんと理解していないと、不利益を押し付けられるのはいつも若い世代
英国史の授業で、
たとえば女性や、子どもたちは、当初はなんの権利も持たなかった。だからとっても大変だったという事を学びました。それは労働者という階級も同じことでした。
この150年間、
ひとつひとつ、
労働者たちは自分たちの権利を勝ち取ってきたのです。
この時代 ⇩ 一日16時間も働かされている子どもたちがいたんだよ (/ω\) !
TAAPWorld - The Children of the Industrial Revolution - Catherine Sullivan
だから、王や貴族や資本家の子息でなくても、今、私たちは、労働者の子どもとして生まれても、ちゃんと自分らしく生きる権利をもっています。
そして、この世界で、ひとりひとりが、隷従から解放され、搾取されることなく、人間らしく生きるためのたたかいは、いまも続いています。
先日、韓国でも、すばらしい法律が議会で可決されました。
CNN.co.jp : 韓国、労働時間短縮の改正法を施行 週52時間以内に
2018.07.03 Tue posted at 15:37 JST
(CNN) 韓国でこのほど、1週間の労働時間を週52時間以内に制限する改正法が施行された。
この法案は今年、国会で採決にかけられ、圧倒的多数の賛成で可決されていた。労働時間の上限はこれまで週68時間と定められていたが、1日からの施行で大幅に短縮される。
最初は従業員300人以上の大企業が対象で、中小企業には2020~21年から適用される。
韓国ではこのほかにもワーク・ライフ・バランスの改善に向け、首都ソウルの市役所が金曜夜は早い時間に消灯して職員に帰宅を促すなど、さまざまな取り組みが広がっている。
経済協力開発機構(OECD)が最近発表した世界ランキングで、17年の年間平均労働時間は韓国が2024時間(週当たり38.9時間)と、37カ国中3位。1位はメキシコの2257時間、2位はコスタリカの2179時間だった。
反対に年間労働時間が最も短かったのはドイツの1356時間(週当たり26時間)で、デンマークの1408時間がこれに続いた。
一部の研究では、労働時間が一定のラインを超えると心臓病などのリスクが上がり、労働者の生産性は低下するとの結果が報告されている。
一週間に52時間以内、といっても、週5日労働とすれば10時間。1日10時間働こうと思えば、結構大変ですが、それでも、それ以上はダメだと、当たり前のことを当たり前に定めていく。そういう法律が大切なんです。
でも、そういう流れから逆方向に進む国があります。
その国では、なんと、残業代なく労働者を働かせることが可能になります。
働き方改革法案、という、いかにも素晴らしそうなタイトルで、実際どのような法案なのか、ちゃんと見ない人は、だまされてしまいますね。
働く全ての人たちにとって大きな影響がある法案が、29日にも成立しようとしています。政府・与党が、今の国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」が、28日夜、参議院の委員会で可決されました。過労死が増えるのではとの懸念は解消されたのでしょうか。
午後7時半、参議院・厚生労働委員会。「働き方改革関連法案」が、与党などの賛成多数で可決されました。法案には、同一労働・同一賃金の導入などが盛り込まれる一方、最大の焦点となったのは、高度プロフェッショナル制度、通称「高プロ」。年収1075万円以上のアナリストやコンサルタントなどの一部専門職について、労働時間の規制の対象から外すものです。
「高プロ」が適用された場合、年間104日の休日取得は義務付けられますが、残業代や深夜手当、休日手当は一切支払われなくなります。理論上は、48日間休みなく働き続けることも可能になり、野党側は「過労死を招く恐れがある」などと強く反対しています。
この「高プロ」、一体誰のための制度なのでしょうか。
加藤厚労大臣は今年1月・・・
「働く者の側から要請があったと理解してよろしいでしょうか」(民進党【当時】 浜野喜史参院議員・1月31日)
「私もいろいろお話を聞く中で、自分のペースで仕事をしていきたいんだとそういったぜひ働き方をつくってほしいというご要望を頂きました」(加藤勝信厚労相・1月31日)
働く側のための制度であると答弁をしていました。
その後、答弁を裏付けるかのように、厚労省は「高プロ」の対象となる人へのヒアリング結果を公表。
「メリハリのある働き方をして、生産性を上げる」(コンサルタント・ヒアリング結果)
ところが、ヒアリングの対象がわずか12人だったことが発覚。さらに、このうち9人は、加藤大臣の答弁が行われた日と翌日にヒアリングしていたことが明らかになりました。
「ものすごい手抜きなんですよ。いろいろな方の声を聞きました。高度プロフェッショナル制度の導入ですって、チャンチャラおかしい」(社民党 福島みずほ参院議員・12日)
今月25日、安倍総理は・・・
「経団連会長等の経済団体の代表からは、高度プロフェッショナル制度の導入をすべきとのご意見を頂いておりまして」(安倍首相)
この制度が働く側のニーズではなく、経済界の要望に基づいてできたものであることを認めるかのような答弁を行ったのです。
法案をめぐっては、今後、対象がなし崩し的に拡大されるのではという懸念の声も上がっています。
専門家は・・・
「業種・業務がどこまで広がるかが分からない。派遣法も最初はかなり職種を限定してやっていたが、それがだんだん職種が拡大して、製造業でも派遣してもいいよと。そこからの教訓というのは学び取るべき」(法政大学 上西充子教授)
採決前に行われた28日の質疑でも、疑問の声が相次ぎました。
「年収要件1075万(円)になる。でも、そこに実は、手当まで含まれてしまう。基本給でいったら800万(円)下回る、場合によっては700万(円)下回る。そんな契約まで可能になってしまう。そこに手当含んで良いのか」(立憲民主党 石橋通宏参院議員)
「基本給、名称にかかわらず、支払われることが確実に見込まれる金額が1075万(円)という数字も出ている」(加藤勝信厚労相)
果たして、審議は尽くされたのでしょうか。
この法案の行方を、国会の前で見守る女性がいました。
「娘を過労で亡くした親にとっては、これ以上過労死を増やしたくない」
こう訴えるのは佐戸恵美子さん。2013年、NHKの記者だった娘の未和さんを、過労で亡くしました。31歳でした。
「未和だって、好きで死んだんじゃない。未和も無念なんですよ。生きたかったんですよ」(佐戸恵美子さん)
佐戸さんら過労死遺族で作る「全国過労死を考える家族の会」は、5月、安倍総理との面会を求めていましたが面会はかないませんでした。
これについて、安倍総理は・・・
「法案の中身について熟知し、議論の経過について承知をしている厚労省、そして厚労大臣が対応するのが適切と判断した」(安倍首相・26日)
「逃げられましたよね、逃げてますよね。厚生労働大臣の方に任せてますと、その一点張りです。死ぬまで働かされても違法にならない。これは絶対におかしいです」(佐戸恵美子さん)
「過労死家族の声を聞け!」
法案が可決された後も佐戸さんは、過労死を許すなと訴え続けました。
法案は29日、参議院本会議で採決され、成立する見通しです。
2015年の改正派遣法
以前、クラスで、ある男子学生が、「えっ、でも、非正規労働は労働の多様化で、いいことだ、必要だって、テレビとかが言っていましたよ~」と。
彼は、非正規労働というものが、どういったものか、知らなかったので、アルバイトと同じことだ、保障も年金も医療保険もなく、三年ごとに契約を切らなければらないよ、というと、とっても驚いていました。
そういう基本的な情報もなく、非正規雇用は「いいことだ、必要だ」というメッセージだけが学生に伝わっている、というのはどういうことなのでしょう、と、逆に私のほうが驚いてしまったのですが。
三年ルール
2015年に施行された改正派遣法では、派遣労働者が同じ組織(課を想定)や同業務に就いて継続的に働ける期間を3年間と定めました。これが「3年ルール」です。
それで、三年ごとに解雇されるという、悪夢のような状態が生まれています。特にその地獄の状況に置かれるのは、若い労働者です。
そしてこの改正派遣法から三年後、非正規労働者が過去最多に。
これから、私たちの労働環境はどうなっていくのか。
有権者である私たち、ひとりひとりが、
かかわる状況です。
過労死したNHK記者の母・佐戸恵美子さんが悲痛の訴え「二百時間を超える時間外労働で命を落としたかと思うと、私は込み上げてくる怒りを抑えることができません」