Sophist Almanac

世界について知りたいとき

科研費を攻撃するひとたち ~ 学問に「反日」や「親日」はない。あるのは「学問」だけです。

 

これ、放送前からバッシングされてたのか~。

 

バッシングの背景迫った「映像18」16日深夜放送
日刊スポーツ [2018年12月15日16時17分]

 

放送前からネットの一部でバッシングされているドキュメンタリー番組がある。鋭い視点で斬り込むMBSテレビのドキュメンタリーシリーズ「映像’18」。16日深夜1時5分から放送される「バッシング~その発信源の背後に何が」(関西ローカル)ではバッシングのターゲットにされた大学教授、弁護士らを取材し、バッシングの背景に迫る。

 

性暴力やセクシュアルハラスメント被害の研究に取り組んでいる大阪大学の牟田和恵教授は今春、突然のバッシングに見舞われた。

 

昨年度、海外の学者らと共同研究したジェンダー平等社会の実現についての論文を作成した。性と暴力の問題を論じる中で、慰安婦問題も研究対象にしていた。

 

論文発表後、「反日研究である」。誹謗(ひぼう)中傷のツイートが相次いだ。

 

きっかけがあった。国の委託を受けた複数の専門家が審査し、一定の基準を通過した研究に対して支給される科学技術研究費助成事業「科研費」が研究に使われていたからだった。

 

2月26日、自民党衆議院議員杉田水脈(みお)衆院議員が衆院予算委員会分科会で「徴用工」や「慰安婦」に関する研究に「なぜ税金を投じているのか」と質疑したことが、バッシングの呼び水となった。

 

その後、杉田氏はツイッターで牟田教授を名指しし、「慰安婦は捏造(ねつぞう)。慰安婦問題は女性の人権問題ではない。税金を反日活動に使われることに納得がいかない」と批判した。

 

牟田教授もツイッターで反論したが、杉田氏のツイートをフォローする保守系ツイッター「CatNA=キャットニュースエージェンシー」は、牟田教授を批判するツイートを連打。大阪大学には「なぜあんな女を教授にしているのか」と匿名のクレーム電話が入るようになった。

 

牟田教授は「研究そのものを捏造(ねつぞう)と言われるのに驚いた。研究者生命にかかわる重大な誹謗(ひぼう)中傷。(杉田氏は)公人として社会的発言をどう考えているのか」と憤る。

 

同番組が杉田氏に取材を申し込むと「科研費については詳しくないのでインタビューは受けられない」との回答があった。

 

牟田教授は「科研費に対して政治が内容に干渉してくるのは、あってはならないこと。戦前回帰になってしまう。政権与党が気に入る方向でしか研究費が支給されないということになると、日本の社会科学、人文科学はどうなってしまうのか」と危惧した。

 

牟田教授だけではなかった。安倍政権に批判的な学者に対してもバッシングは広がっていた。閣僚や官僚の答弁の論点ずらしやごまかしを見破る「ご飯論法」を編み出した法政大の上西充子教授はかつて厚生労働省が所管する調査研究機関に在籍していた。「ご飯論法」は今年の「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」トップ10入りした。

 

上西教授は労働法制の見直しと言われた「働き方改革法案」に注目していた。裁量労働制を巡り、安倍首相が1月「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは平均的な方と比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」。このデータの不備があることを指摘した。この上西教授の裁量労働に関する厚労省のデータは事実上の捏造(ねつぞう)との指摘がきっかけとなり、安倍政権は法案から裁量労働の改正を外すことになった。

 

「素朴にこんなの調査結果って言ったらダメでしょと。アカデミックな素朴な指摘をした。そのアカデミックな指摘をしたことで深い闇が見てきた。その深い闇を言及すればするほど、根深いことが見えてきた」 上西教授は安倍政権と敵対する学者とみなされるようになり、バッシングが激しくなった。

 

バッシングは研究者だけではない。昨年6月から東京弁護士会佐々木亮弁護士の元には、見知らぬ人から懲戒処分を求める書面が送られてきた。懲戒請求は弁護士が職業倫理品格に反しているとして、弁護士会に申し立てる手続き。重大な場合は弁護士資格が剥奪される。

 

当初200件、最終的に3000件の懲戒請求が届いた。同番組は懲戒請求の背景を取材した。

 

国は北朝鮮の軍事行動から公的補助を打ち切る方針を決め、自治体に補助金交付を自粛することを要請した。政府の方針に日本弁護士連合会(日弁連)が一昨年、補助金停止に反対する会長声明を表明。

 

大阪でも朝鮮学校の授業料無償化を求める裁判で原告代理人を務める在日コリアンの金英哲弁護士らが懲戒請求の標的にされた。きっかけとなったのはブログ「余命三年時事日記」。その中には「日弁連朝鮮人幹部に牛耳られている」などと書かれており、懲戒請求はこのブログの呼びかけに応じたものと思われる。 番組は実際に懲戒請求を送った人や、このブログの執筆者を取材。その背景を探る。「余命三年時事日記」は東京都内の出版社でシリーズ本にもなっている。同番組は出版社に取材を試みたが、取材過程の途中、同出版社の公式ツイッターに、事実とは異なる内容で取材者を批判するツイートが始まった。番組スタッフも攻撃を受けた。

 

MBS報道局番組部の斉加尚代ディレクター(53)は番組をつくるきっかけについて「科研費をめぐりバッシングが燃えさかったのはなぜだろう? 」という疑問からだったという。

 

「バッシングのうねりと政治家との関係を注意深くみてほしい。発信源の背景にはどんな力が働いているのか。それを直視しないと、流れてきた言説に翻弄(ほんろう)されてしまう」と斉加ディレクター。

 

番組の最後には点と線が結びつき、バッシングの背景にある「事実」が明らかになる。

 

ここで誹謗中傷の発信源となっている自民党の政治家「杉田水脈」さんは、日本の極右政治家 (far-right) として、海外の記事や映像にもしばしば登場する政治家ですが、とうの日本ではほとんどメディアで問題にされることは少なく、杉田さんの選挙区は比例中国ブロックとなっていますが、現地の有権者の人々は、杉田さんの名前すらろくに知らないのではないでしょうか。

 

www.businessinsider.jp

 

ドキュメンタリー『バッシング~その発信源の背後に何が』

 

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