001-20210204 Myanmar
Today's News Words
再びの軍事クーデターの数か月後、東京オリンピックの、あの瞬間に、私たちもその青年の勇気の姿を目撃しました。
スマートフォンに写っていたのは国歌斉唱の際、1人の選手が軍への抗議を示す3本の指を立てる画像。その選手こそが、前日に情報提供があった、控えゴールキーパーのピエ・リアン・アウン選手(27)だったのです。
スタジアム内で取材していたNHKのカメラクルーも、その瞬間を捉えていました。撮影したカメラマンによると、手を挙げる前からずっと震えているのが分かり、緊張が伝わってきたと言います。
NHK の記事を読んでみよう
2015年の総選挙でみずからが率いる政党を圧勝に導き、半世紀以上にわたって続いてきた軍主導の政治を終わらせたアウン・サン・スー・チー氏。
軍との融和姿勢を打ち出す一方、実態は緊張関係にありました。
背景にあるのが、スー・チー氏の選挙公約です。
スー・チー氏は「真に民主的な国家の実現」を掲げてきました。
公約実現のため、スー・チー氏が取り組もうとしたのが憲法改正です。
スー・チー氏の政党は、去年、憲法改正案を議会に提出しました。
現在の憲法は、議会の4分の1の議席が軍人に割り当てられるなど、軍が政治に強い影響力を持つことを保証しています。改正には、議会の4分の3を超える賛成が必要なため、事実上、軍の同意なしには改正できません。改正案には、軍人の議席を削る案が盛り込まれていました。
結局、憲法改正案は軍人議員の反対などで否決。軍はスー・チー氏への不満を募らせていきます。
そして迎えた去年11月の総選挙。スー・チー氏が率いる政党は再び「真に民主的な国家の実現」を掲げ、圧勝します。
ミャンマーの政治に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授は、選挙に圧勝したスー・チー氏は軍の政治への影響力の低下を狙う動きを強めるのではないか。こうした軍の危機感がクーデターにつながったと指摘しています。
ミャンマー (Myanmar) 。あるいはビルマ (Burma) 。
私たちは歴史的に深く、この国とつながっています。かつて、タイで難民のおじさんから、日本に持ち帰ってあげてくれと、ビルマ戦線で斃れた日本兵の銃剣を手渡された時には、その銃剣の重みが心にずっしりときました。ビルマの山岳地帯には、未だに多くの日本の若者の遺骨が眠っているのです。
その国が戦後、どのような歴史を歩んでいくことになったのか、私たちもそれを知っておくことが大切なはずです。
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