メディアの読み方 日本はレイシズムをしっかり学び考えることをしてきたでしょうか
番組「世界のいま Mr.シップ」が問題となった点
人種差別や警察暴力は「ののしり合い」から生まれたものではありません
NHK は (ニュース番組は別として) 他局では決して真似できないような素晴らしいドキュメンタリー番組が多く、コロナの時期だけでも大量のドキュメンタリーアーカイブを学生たちのためにオープンしてほしいとずっと思っていたのですが、
今回問題になっている番組は、このツイート一つとっても、完全に間違っていますね。⇩ なんで勉強不足のまま番組を作っているのでしょうか。
メディアに携わる人間はこのような偏見や差別を助長するステレオタイプや人種差別的な憶測を決して垂れたれながしてはいけません。
アメリカの警察暴力や人種差別は「お互いのののしりあい」から生まれたものではありません。むしろ議論に議論を重ねながら差別や組織的暴力と戦ってきたのです。大丈夫なんでしょうか、日本のメディアは。
アメリカ社会は、考え方の違う両者が互いにののしり合って、どんどん分断が深まっていってしまったんだ。#アメリカ #抗議デモ #世界のいま #せかいま #国際ニュース 🌏
— 世界のいま Mr.シップ (@nhk_sekaima) 2020年6月7日
社会の分断を生むのは、議論ではなく差別やデマやヘイトです。そこ、まずちゃんと抑えなければ、沈黙が美徳とされ、永遠にディスカッションできない国になりますよ。
これもひどい。
白人警察官には黒人に対する漠然とした恐怖心があって、今回の抗議デモの発端となったような事件がなくならないとも言われているんだヨーソロー。#アメリカ #抗議デモ #世界のいま #国際ニュース 🌏
— 世界のいま Mr.シップ (@nhk_sekaima) 2020年6月7日
いったい誰に取材したらこんな「偏見」がでてくるのでしょう、警察官はアフリカ系の人も多いですよ。白人至上主義者にでも取材したのでしょうか。本当に恐怖心をひきおこしているのは銃という暴力です。
番組の制作者は自分の偏見や思い込みで番組を作るのではなく、知らないことは専門家にきっちりとアドバイザーになってもらえばいいじゃないですか。日本だって、いくらでも人種問題を研究しているひとたちはいます。
てゆうか、日ごろからちゃんと人種問題を学んでいれば、ぜったいに、こんな白人至上主義団体の典型的ないいわけを NHK のツイートとして流したりするわけはありません。学生なら、もっと学びなさい、で済みますが、メディア人としてこれはもう失格です。
差別を再生産するステレオタイプをつかったアニメ
しかもこんなカリカチュア、もう人種差別ステレオタイプの典型を描いてどうするんですか・・・。
アメリカ大使館から強いクレーム。ふつう、逆じゃん。アメリカ大使館に人種差別の抗議を申し入れる側であってほしい NHK が・・・・嘆かわし過ぎる。
米国の複雑な人種問題に焦点をあてようとする @NHK の意図は理解していますが、この動画ではもっと多くの考察と注意が払われるべきでした。使われたアニメは侮辱的で無神経です。 https://t.co/y3s4pSAenz
— ジョセフ・M・ヤング 駐日米国臨時代理大使 (@USAmbJapan) 2020年6月9日
Learning about racial justice and equality is a lifelong endeavor. A great place to start is the “Talking About Race” exhibit at the National Museum of African American History and Culture. https://t.co/Q0hazkKxqx
— ジョセフ・M・ヤング 駐日米国臨時代理大使 (@USAmbJapan) 2020年6月9日
さっそく英国ガーディアン紙が批判してる。
Your Tweet was quoted in an article by @guardian https://t.co/IdLsR7aUNE
— Recite Social (@ReciteSocial) 2020年6月9日
ほんと NHK はひどいアニメを作ってたんですね・・・。だれも製作段階でひとりもこれはステレオタイプだという人はいなかったんですか。
- NHKが動画を削除して謝罪。「これでわかった!世界のいま」の公式Twitterが投稿し、批判殺到していた。 | ハフポスト
- NHK番組の動画をアメリカ駐日臨時代理大使も批判。「侮辱的でデリカシーに欠ける描かれ方をしています」 | ハフポスト
- NHK番組の黒人の描き方に疑問「敵を作らせるやり方だ」と在米ジャーナリスト指摘【UPDATE】 | ハフポスト
アメリカ公共放送「セサミストリート」の多文化教育
デモや抗議の大切さを子どもたちに伝えるエルモパパ
セサミストリートは1969年にスタートしたアメリカ多文化教育の原点。さすがですね ! 公共放送たるもの、こうでなくっちゃ !
見かけだけで判断するのではなく、物事の背景をしっかりと子どもたちに伝えることが大切。パパは、デモをエルモくんにどう伝えているでしょうか。
エルモのお父さんが、複雑な問題を解説するお手本を見せてくれている。
— 阿部岳 / ABE Takashi (@ABETakashiOki) 2020年6月9日
差別に怒るのは権利。肝心な点をシンプルに伝えるべきだ。
NHKのアニメ解説が肝心な点を一切すっ飛ばし、デモを悪く描いたのと対照的。
エルモのお父さんは、自作のプラカード持ってこれからデモ行くって。 https://t.co/b30ul31Brt
人種差別(レイシズム)とは何か、エルモ @Elmo がパパに教えてもらっています。
— 山田拓路@多文化保育イニシアティブ (@takuji85) 2020年6月7日
CNNとセサミストリートが作った動画ですが、アメリカだけの話ではありません。
日本でも外国人差別が続いています。
子どもたちも見られるように、ひらがなで字幕をつけました。ご覧ください。
Via @CNN pic.twitter.com/0nvhg8XfJt
政治や人種や民族問題を骨抜きにした教育には意味がないのです。
日本は就学前児童どころか、高校までの教育に多文化教育や公民権教育といったものはほとんど導入されていませんね。
一方、アメリカ公共放送 PBS のセサミストリートでは、こうした多文化教育や公民権教育といったものを子どもたちにマペットを通じて伝えていきます。
幼稚園保育園の preschooler (就学前児童) の子どもたちにも、民主主義の原点であるデモにはどんな意味があるのか、レイシズムとはどういうことなのか、伝えていくというのがどんなに大切かということをエルモくんのパパはわかりやすくエルモくんに伝えています。
そういうことを、日本の大人たちも子どもたちに伝えていける社会になりたいですね。
もっと読んでみよう。