Sophists' Almanac

世界について知りたいとき

民主主義のための危険予測 ~ 私たちの時代もまた、独裁者を求めているのだろうか

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知らなかった・・・、

 

なんて、何のいいわけにもならない。

もし、わざと目をそむけ、見ないようにしてきたのだったら。

 

戦争が終わった時、収容所の内部をドイツ国民に公開した時、女性写真家マーガレット・バーク・ホワイトはこう記している。


(あまりの悲惨さに) 女性は気を失い、男性は顔をそむけ、

「知らなかったんだ」という声が人々から上がった。

 

すると釈放された収容者たちは怒りをあらわにこう叫んだ。

「いいや、あなたたちは知っていた」

 

目を背けていたことは、知らなかったことにはならない。

それに、じつは何の言い訳にもならない。

 

ドイツのニーメラー牧師の言葉も知っておきたいね。

 

ナチが共産主義者を襲つたとき、自分はやや不安になつた。
けれども結局自分は共産主義者でなかつたので何もしなかつた。


それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。
けれども自分は依然として社会主義者ではなかつた。そこでやはり何もしなかつた。


それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、
そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかつた。


さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であつた。
そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであつた。

 

— 丸山眞男訳、「現代における人間と政治」(1961年)

 

自分とは関係ない、と思う無関心さが、ヒトラーを暴走させたんだ。

 

歴史は繰り返す、といわれるけど、

まったく同じ繰り返しはないとおもう。

 

ますますひどくなることはあり得るけど。

 

だって人間は変わらず愚かでも、人間の技術だけは進んでいくから、戦争は規模を増しておぞましいまでに非人道的になり、そして大量破壊兵器は簡単にこの地球を滅ぼすことができるまでになった。

 

でも、もし歴史は繰り返すとしたら、

 

大きな弧を描いて、いま私たちが生きているニューミレニアムの世代は、どこまで来ているのだろうか。

 

今から100年前、ヒトラーは当時のメディアを最も巧みに使ってポピュリズムの流れを作った。そして経済に疲弊し、民族のプライドを傷つけられたように感じていた人々はヒトラーによりどころを見出し、喚起してファシズムを迎えいれ、ナショナリズム (民族主義) の時代に突入してしまった。

 

そして、あれから百年たった今、SNS という新しいメディアを巧みに使ってデマやヘイトを扇動し、フェイクニュースやヘイト記事で人々を煽り、SNS で人々の支持を集めようとする政治家が勢いを持ってきています。

 

だから百年前に起こったことは、今見ると、逆にすごくリアリティーがある。

 

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ヒトラーは「強い国づくり」といいながら、憎悪と恐怖でヨーロッパ中を破壊してしまいましたが、「この道以外にない」といったレトリックが、当時の人々の思考停止を招きました。

 

考えなくていい、「この道以外にない」から、従っていればいい、というのは、ある意味で、楽ですよね。安心感がある。頼れる。この道しかない。でもそれは民主主義ではないよ。

 

よく政治家は「この道しかない」といったレトリックを多用しますが、ほんとうはこういう言葉は誘導的なので、気をつけなければなりません。

 

あえて強調しますが、

いくらでも道はあります。

 

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歴史に学び、未来を見据えて活路を見出していくのが人間というもの、人間の英知というものです。

 

私たちの時代もまた独裁者を求めているのでしょうか。

 

「良い独裁もある」と語った NHK の岩田記者

 

 

ネットでは、いい独裁は素晴らしい、なんて言説も飛び交いますが、お花畑ですよ。無知って怖いですね。いい独裁も悪い独裁もない。独裁は独裁です。民主主義ではありません。

 

民主主義は常に独裁主義に転ぶ危険性をはらんでいます。

だからこそ、ちゃんと独裁とは何かを知っておかないといけないね。

 

自動車免許でまず習うのは、危険予測でしょ。いっぱい危険予測しながら運転しなさいと教えられるよね。それと同じ。危険予測なしで民主主義の安全運転などできないものね。

 

まず百年前のこと、知っておこう。

 

「新・映像の世紀

第3集 時代独裁者求めた

ミュンヘン近郊の山荘で、くつろぐ柔和な表情のヒトラー。その傍らには、23歳年下の愛人エヴァ・ブラウン…。物語はヒトラーと心中したエヴァの遺品から発見されたプライベートフィルムから始まる。5000万を越える人々が犠牲となった第二次世界大戦の惨劇は一人の独裁者の狂気だけが生み出したものではない。大恐慌で資本主義に幻滅した人々はファシズムを支持し、世界中の企業がナチスを支援した。自動車王ヘンリー・フォードナチスに資金援助したと言われ、フォード社は、ドイツ軍の4分の1のトラックを生産。アウシュビッツ収容所の大量の囚人管理を可能にしたのは、アメリカ企業のパンチカードだった。独裁者に未来を託し、世界を地獄に追い込んでしまった人々の物語。

 

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