Presidential Election 2008: オバマ vs マケイン ~ 共和党の良心、故マケイン上院議員の心を打つスピーチ
そしていよいよ開票のさなか、
その時がやってきます。
アフリカ系アメリカ人初のアメリカ大統領となるバラクオバマに勝利を concession 譲るスピーチ。
本当に素晴らしいスピーチでした。
Today's Topic
当時の ABC ニュースの録画から抜粋。
どんどんと開票作業が進められていく中、ある程度のデータが集まってくると、当選確実な候補がどちらかなのか、いわゆる「当確」が発表されます。
そしてまず選挙に敗れた側が、コンセッション concession とは勝利を勝者に「譲る」いう意味。
その concession speech が行われる、マケインの地元のアリゾナ州に場面が切り替わります。場面が切り替わる瞬間直前にちらっと写る、後方でだだ泣きしているアフリカ系の男性は Jessie Jackson 牧師。Martin Luther King, Jr. 牧師のマブダチでした。親友ののキング牧師が暗殺されてちょうど40年目に、アフリカ系の大統領が登場するなんて誰がその当時想像できたでしょう。キングは私には夢があると言いましたが、この瞬間をキング牧師も天国で見ていることでしょう。
考えてみれば、ペイリンを副大統領候補に選んだという失敗、そして、どんどんとネガティブ・キャンペーンに突き進む共和党選挙陣営の中心にいて、2008年の選挙戦は、とてもマケインにとってつらい記憶になったのではないかと思います。マケインの長年の朋友であった前国務長官のコリン・パウエルも、そんなマケイン陣営から離れ、オバマ支持へと回りました。
そのようなつらい選挙戦の最期を締めくくるスピーチは、集まった支援者たちのブーイングを何度もしっかりと両手で押さえながらの、気品あふれるすばらしいものでした。ここで ABC ニュースの記者さんたちも絶賛していますね。
共和党の穏健派、保守の王道を歩んできた、軍人で政治家の John McCain は、党派を超えて深い尊敬を集めました。私も尊敬する政治家の1人です。
晩年も Donald Trump を鋭く批判。そしてマケインのトランプ大統領への最後の言葉は、俺の葬式に出てくんな、っていうことでした。
ほんと、マケインさん、かっこいい。
【8月27日 AFP】
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が自身の葬儀に参列しないこと──25日に脳腫瘍(のうしゅよう)のために死去したアリゾナ州選出の上院議員、ジョン・マケイン(John McCain)氏の最後の望みの一つはとてもはっきりしていた。
マケイン氏とトランプ氏は、お互いに相手を好ましく思うそぶりすらみせなかった。それは単に相性や出自が全く異なるといった理由だけでは説明できるものではなかった。2人は根底から異なり、価値観も全く違う。その相違については、一般的にも広く知られていた。
2015年6月、トランプ氏は大統領選に共和党から出馬することを表明し、この時、メキシコ系の不法移民を犯罪者呼ばわりした。この発言に対してマケイン氏は、トランプ氏が「おかしな人々を駆り立てる」ような言葉を使ったとして不快感をあらわにした。
するとトランプ氏は、「マケイン氏は米海軍兵学校(US Naval Academy)をぎりぎりで卒業した『間抜け』だ」と反発し、さらに、マケイン氏の従軍経験についても難癖をつけた。これには、ベトナム戦争(Vietnam War)で負傷し、捕虜となった5年間について触れたものもあった。
ベトナムで捕虜となり拷問を受けたマケイン氏は、帰国後に英雄として数々の勲章を授与されているが、これについてトランプ氏は、戦争の英雄になれたのは「捕まったから」だと述べ、「私は捕まらなかった人が好きだ」と言い放った。この発言には、複数の退役軍人団体など、多方面から非難が集中した。
これに対してマケイン氏は、自らへの謝罪は求めず、その代わりに戦争で犠牲になった人々や捕虜となった人々の遺族に対して謝罪する義務がトランプ氏にはあるとの考えを示した。このやり取りを通じて、2人の性格の違いは浮き彫りになった。なお、トランプ氏は兵役を免除されているため、従軍の経験がない。
しかし、ポピュリストのトランプ氏が共和党の大統領候補に指名されたことを受け、世間では「マケインスタイルの共和主義」、さらには2008年の大統領選でマケイン氏が採った、より体系化された選挙アプローチへの否定だとの見方が大方を占めた。
■「米大統領の振る舞いとしては最も見苦しい」
2016年11月、トランプ氏は民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏を破り、次期大統領となることが決まった。その後、首都ワシントンの国会議事堂で次期大統領について報道陣から質問攻めに遭ったマケイン氏は、「私にドナルド・トランプについて聞かないでくれ。私は誰かに対して失礼な態度を取りたくないが、彼については質問されたくない」と感情を高ぶらせた。
討論会でその手腕を発揮し、長年の規範や内外政策における信条を打ち破って米国の大統領となったトランプ氏を認めることは、マケイン氏にとって耐え難いことだった。
特に、米大統領選におけるロシアの干渉を断固として認めず、何ら対策を講じないトランプ氏の態度には、ことさら憤慨した様子を見せた。
フィンランドの首都ヘルシンキで7月に行われた米ロ首脳会談で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の肩を持ち、トランプ氏が寛容的な態度を示した際には、「今日、ヘルシンキで行われた記者会見は、私の記憶にある限り、米大統領による振る舞いとしては最も見苦しいものの一つだった」と批判的なコメントを発表し、その怒りを爆発させた。
■トランプ氏への当てこすり
ベトナム戦争での体験は、マケイン氏の人生において大きな意味を持っていた。2017年10月のインタビューでは、米国での兵役について触れた。
マケイン氏は、「どうしても容認できないことがある。米国では、低賃金で働いている人々が兵役を課される一方、超富裕層は骨の損傷に言及してくれる医者を見つけることができる」と述べ、「それは間違っている」と続けた。
この「健康上の理由による徴兵猶予」についての言及は、ほかならぬトランプ氏への当てこすりであることは明白だ。
両者の険悪な関係は、マケイン氏の体調が悪化するなかでも変わることはなかった。今月、マケイン氏の名前を冠した防衛予算法の署名式でトランプ氏の口から、その名前が出ることはなかった。(c)AFP/Ivan Couronne
そして、オバマ政権の元で副大統領を8年間務めたジョー・バイデンは、アリゾナでのマケインの葬儀でこの名スピーチを。
党派を超えて、良心の政治家が強い信頼関係を築く。その尊敬の絆に感動します。
ジョー・バイデンの言葉が心を打ちます。