Political Correctness 政治的公正さとは ?
- Sample 1: Sexuality and Sexual Orientation
- Sample 2: Racism
- ( 1 ) 日本の笑いはちょっとへん?
- ( 2 ) 「土人」は差別発言ではないの?
- ( 3 ) 「学芸員はガン」?
日本であまりにも周知されていない事柄の一つに、
Political Correctness という概念がある。
政治的に正しい言葉をつかうこと
(to use politically correct words)
というあたりまえのことなんだけど、
日本で検索してみると、びっくり (゚Д゚;)
日本では「言葉狩り」などと訳され解釈されていたりするんだー。
マイノリティーの立場にたって、ちゃんと差別的ではない言葉を使おうという運動が、日本ではほとんどポジティブにとらえられてきていない。えーっ !
それは一体なんでだろう。
ポリティカル・コレクトネス( political correctness; PC )とは、日本語で政治的に正しい言葉遣いとも呼ばれる、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語のことで、職業・性別・文化・人種・民族・宗教・障害者・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を指す。
1980年代に多民族国家アメリカ合衆国で始まった、「用語における差別・偏見を取り除くために、政治的な観点から見て正しい用語を使う」という意味で使われる言い回しである。「偏った用語を追放し、中立的な表現を使用しよう」という運動だけでなく、差別是正に関する活動全体を指すこともある。
Sample 1: Sexuality and Sexual Orientation
例えば身近な言葉も当たり前に性別がないように変化してきたね。
職業 | 伝統的な表現 | ポリティカル・コレクトな表現 |
---|---|---|
議長 | chairman | chairperson または chair |
警察官 | policeman | police officer |
消防官 | fireman | fire fighter |
実業家 | businessman | businessperson |
写真家 | cameraman | Photographer |
重要人物 | key man | key person |
Sample 2: Racism
例えば人種差別的な言葉を政治的に正しい言葉にしていくという努力は、本当に沢山の人々の気が遠くなるような長年の努力の末に少しずつ積みあげられてきた。
➡ N-word について
African-American という呼び方が定着するまでの歴史。
その political correctness を考えるために、にほんの幾つかの出来事をあげておこう。
( 1 ) 日本の笑いはちょっとへん?
春菜の芸を見ても笑わなかったアリアナが、CM中に伝えた言葉に考えさせられる
4月11日夜に到着したアリアナは、13日放送の『スッキリ!!』(日本テレビ系)に出演し、トークと歌唱を披露。15日の『めざましテレビ』(フジテレビ系)にも生出演予定だったが、14日夜に九州・熊本で発生した大地震の影響でこれは中止になった。
さて『スッキリ!!』では、次のような一幕があった。司会の加藤浩次(46)が、4月から同番組レギュラーのハリセンボン・近藤春菜(33)の容姿が「マイケル・ムーアやシュレックに似ている」という持ちネタで、アリアナのことも笑わせようとした。加藤がアリアナに「(近藤の顔をさして)会ったことあるんじゃない?映画監督でさ」と定番のフリをやり、近藤が「マイケル・ムーア監督じゃねぇよ!」とツッコむ。近藤の十八番ネタであるが、このやり取りを見てもアリアナは笑わない。
通訳が説明しても笑わない。加藤が近藤を指さしてもう一度「マイケル・ムーア監督(に似てる)」と言うが、アリアナは「今日初めて会いしました」と返答。シャレは通じない。
続いて、加藤は「アニメの、緑色のね?」と「シュレックじゃねぇよ!」をやらせるが、アリアナはやはり笑わなかった。十八番でクスリとも笑わせられなかった近藤は落ち込んだ顔を見せ、再び「シュレックじゃないから!」とアピール。するとアリアナは、「シュレックだと思いませんでしたよ、すごくかわいい!」と発言したのだった。
アリアナはCM中、近藤に「あなたは本当にマイケル・ムーアに似てないから。私が約束する」と声を掛けたそうだ。近藤がメイクや衣装などであからさまにマイケル・ムーアのモノマネをしていたらまた別なのかもしれないが、素の容姿がオジサンや緑色の怪物に似ていることをネタにして笑いをとろうというのは、アリアナには通じなかったのだ。
近藤と同じく女性芸人の渡辺直美は、2014年に3カ月のニューヨーク留学を経験している。彼女はビヨンセのダンスを堂々と披露する口パク芸でブレイクしたが、アメリカではその芸が「笑われる」ものではなかったという。表現力やダンスを賞賛されることはあっても、「デブのアジア人なのに、ビヨンセを気取っている」ことをバカにして笑うようなノリが、現在のアメリカでは薄れているそうだ。
人の容姿を笑う、その笑いの中に嘲りが含まれているものは、もはや許容されない。不細工も肥満も薄毛も出っ歯も、それを笑うことは差別的な行為だという認識が急速に浸透しているからだ。今の日本では、ブスやデブやハゲは笑いの対象であり、美形でスタイル抜群の男女を賞賛することが「当たり前」とされている。この「当たり前」を前提としてテレビをはじめとしたメディアコンテンツはつくられ、笑いの線引きがされてきた。
しかしポリティカル・コレクトネスについては、日本でもこれから先そう遠くない未来に真剣に議論し、速やかに実行しなければならない日がくるだろう。そのころ、今の「当たり前」に沿った笑いのとりかたしか知らない芸人たちは頭を抱えるかもしれない。
( 2 ) 「土人」は差別発言ではないの?
土人発言に鶴保庸介氏「差別と判断できない」⇒ 新潟県知事「差別です」
沖縄県の米軍ヘリパッド建設現場付近で、大阪府警の機動隊員が抗議活動をしている人に「土人」と発言した問題について、鶴保庸介沖縄北方担当相は11月8日の参院内閣委員会で、「『土人である』と言うことが差別であるとは断定できない」などと述べた。これに対し、新潟県の米山隆一知事が9日、「差別です」などと反論した。
■ 鶴保氏の発言はどんなものだった?
参院内閣委員会で鶴保氏は、共産党の田村智子氏への質問に答え「人権問題であるかについて第三者が一方的に決めつけるというのは非常に危険なこと」などと述べた。鶴保氏は、自身が自民党の人権問題調査会で長らく事務局長を務めていたと紹介。その経験から、次のようにコメントした。
「言論の自由は、もちろんどなたにもありますし、状況的判断もやっぱりあるわけです。その人権問題の一番のポイントは、被害者、差別発言を受けた方々の感情に寄り添うことであることは、論をまたないわけでありますけれども、その感情に対して、どうして、誰が、どういう理由でこれが差別であると判断するかについては、大変喧々諤々の議論があると思います。そうした重い判断を、私個人が大臣という立場で『これは差別である』ということを断じることは、到底できないことでありまして、まだ今もこの議論は続いていると認識しておりますからこそ、そういう発言をさせていただきました」
これに対し田村氏は、「土人」「シナ人」という言葉は、人を侮蔑する言葉として使われてきた歴史があると指摘。菅義偉官房長官や松本純国家公安委員長が「遺憾」などと発言しているなかで、鶴保氏の答弁は「事の重大性を薄める」などと非難した。
鶴保氏は「過去に、土人という言葉の経緯でありますとか、その言葉が出てきた歴史的経緯でありますとか、様々な考え方があります」などと答弁。「現在差別用語とされるものであったとしても、過去には流布していたものが歴史的にはたくさん事例がございます。そういう意味におきましても、土人であると言うことが差別であるというふうには、私は個人的に断定はできませんと、この事を強調しておきたいと思います」などと発言した。
なお、土人発言をめぐっては、金田勝年法相が10月25日、参院法務委員会で「土人」は差別用語にあたるとの認識を示している。
■ 新潟県知事は「差別です」と
鶴保氏の発言について、新潟県の米山知事は9日、Twitterに「差別です」などと投稿。「大臣は日本人が"Barbarian!(未開人)"と言われた時、何と応じるのでしょうか」などと厳しく批判した。
差別です。私は誰からも土人と言われたくないですし、誰にも土人とは言いません。そして勿論、新潟県の誰一人として、誰からも土人と言われてはならないと思います。大臣は日本人が"Barbarian!"と言われた時、何と応じるのでしょうか。https://t.co/Fs7FOfBrKB
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2016年11月8日
土人とは「①土着の人②未開の地で原始的な生活をしている先住民を軽蔑していった語」(明鏡国語辞典)だ。今回②の意味で使われたことは明らか。国語を勉強してはどうか。
— 池田信明 nobuaki.ikeda (@nbak_ikeda) 2016年10月21日
「土人」発言、間違いだという立場にない鶴保庸介・朝日新聞デジタルhttps://t.co/szhUskFe0i
差別発言でないというなら、この人は沖縄人のことを「土人」と呼べばよい。「土人の皆さん、こんにちわ!」って。だって差別じゃないんでしょ?→鶴保沖縄相、差別認めず 機動隊員の「土人」発言 | 2016/11/8 - 共同通信 https://t.co/f0AvQUyB60
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2016年11月8日
【参考記事】「土人が!」沖縄で機動隊員が罵倒 ヘリパッド抗議の市民に
いつもおもうのですが、日本の政治家は 政治的に不適切 (politically incorrect) な言葉の宝庫ですね。どうしてで使用。
Sample ①: この発言で一番政治的に不適切なワードはどれかな?
「一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないと」
実は「この連中」でも「一掃」でもなく、「がん」という病を、何かとてつもなく蔓延する悪を表すメタファーとして使っているところなんです。周りにたくさん、「がん」と共に生き、ガンを生きぬいている人たちがいるのにね。
Sample ②: この記事でフェイクな情報を含んでいるのは?
外国の有名博物館が改装した際のことを引き合いに出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」
これは大英博物館 (British Museum) のことですが、きっぱりと大英博物館側は否定しています。これはいわゆるフェイクニュースです。世界の大英博物館がそんなことするわけない。行ってみたらわかるよ。研究機関なんだから。
日本の博物館の学芸員は海外に比べてとても少ない。予算がないからです。しかも、博物館から学芸員を「一掃しないと」とは ( ゚Д゚) ! すごい政権だな。
「学芸員はがん。連中を一掃しないと」 山本地方創生相:朝日新聞デジタル
山本幸三・地方創生相が16日、大津市内のホテルで開かれた滋賀県主催の地方創生セミナーで、文化財観光の振興をめぐり見学者への案内方法やイベント活用が十分でないことを指摘し、「一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないと」と発言した。
学芸員は博物館法で定められた専門職員で、資料の収集や保管、展示、調査研究などを担う。今回の発言はセミナーでの講演後、滋賀県長浜市の藤井勇治市長から「インバウンド観光振興について助言を」と質問された際にあった。外国の有名博物館が改装した際のことを引き合いに出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」などとも述べた。
セミナー後の記者会見で、山本地方創生相は「新しいアイデアに、学芸員は『文化財だから』と全部反対する。学芸員だけの文化財でやっていると、これから観光立国で生きていくことができない。『一掃』は言い過ぎたが、観光マインドを持って観光客に説明することを理解してもらわないと困る」と釈明した。
山本地方創生相は、衆院福岡10区選出で当選7回。
一方、愛知県内の美術館に勤務する学芸員は、美術館も博物館も、どうしたら来館してもらえるかを真剣に考えている学芸員は多いと反論する。「政府の経済至上の発言を聞くと、集客の少ない小規模館は切り捨てられるのではないかと不安になる」と話した。(岡本洋太郎)
で、ポリティカルコレクトなんてうざい、めんどくさい、差別的なことを自由にしゃべれるのが言論の自由だ、という動きを集約して登場したのがこの方ですね。