Sophist Almanac

世界について知りたいとき

1749年7月8日 稲生もののけ物語 ~ 客人のうえを塩俵が飛ぶ、下駄が障子につきささる

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「芸州武太夫物語絵巻」(立花家史料館蔵)

 

 

稲生もののけ物語、『稲生物怪録』(いのうぶっかいろく)は、江戸中期、寛延2年(1749年)の備後三次(現在の広島県三次市)のひとりの少年が経験した一か月にわたる物の怪との出会いをまとめた記録。稲生武太夫(幼名・平太郎)が体験したという、妖怪にまつわる怪異をとりまとめた記録。毎日毎日、飽きることなくいろんな「もののけ」がやってきます。

 

1749年7月8日 客人のうえを塩俵が飛ぶ、下駄が障子につきささる

塩は「清め塩」などのように魔除けや厄払いとして有名だけど、もののけたちは、平太郎の客人をあざ笑うかのように塩俵を飛ばすのだ。絵巻を見ると、だいたいどの絵巻も、塩が客人たちの上にばら撒かれているのがわかるね。

 

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「芸州武太夫物語絵巻」

 

『三次実録物語』試訳

八日の夜、知りあいの六人がやってきて、くるまざになって座っているところに、塩俵が天井のしたにふわりふわりとして、そのまんなかに落ちる。また、ぼっくり(下駄) が天井の下の角の少し壁が落ちたところからでてきて、次のかもいの所から、すこし低く飛び、また高く飛び、次のおしいれの唐紙障子のところに、ぼっくりの歯間がくいつく。それを見て、みなみなが帰る。

 

それから寝たのだが、蚊帳が真っ白くなり、波打つようだった。

 

三次ことば

押し込み = 押し入れ