1749年7月5日 稲生もののけ物語 ~ いっぱい目や指がついた大石がついてくる、足でけったら煙をだす
「芸州武太夫物語絵巻」(立花家史料館蔵)
稲生もののけ物語、『稲生物怪録』(いのうぶっかいろく)は、江戸中期、寛延2年(1749年)の備後三次(現在の広島県三次市)のひとりの少年が経験した一か月にわたる物の怪との出会いをまとめた記録。稲生武太夫(幼名・平太郎)が体験したという、妖怪にまつわる怪異をとりまとめた記録。毎日毎日、飽きることなくいろんな「もののけ」がやってきます。
1749年7月5日 いっぱい目や指がついた大石が
『三次実録物語』試訳
さて、五日、暮れすぎ、おもての座のうえに、新道石橋 (どこ?) のわきにある、八、九人ほどが抱えるくらいの赤い石が、座のうえにあるのです。
見るところ、そのまま、目が数々ついていて、指も数々ついていて、その指をつかって、私のほうにころがるようにやってきて、しつこく私の行くほう行くほうにころがってくるので、台所の板の間のあがりぐちにころげてきたところを、足でもって蹴落してやれば、まったくむこうが見えないくらいに煙をだす。
寝るまでおおいに煙っていたが、その夜は寝て、朝みてみると、台所の庭にこれがあった。
新道石橋ってどこ !?
台所の板の間のあがりぐち
下の写真は立派過ぎるけど、こんな雰囲気で、かまど~土間~板の間への上り口~板の間、囲炉裏、というかんじ。
伝統的な日本家屋の台所。江戸時代後期、比較的大規模な民家の例。中央が土間、左側にかまど(竈)が並んでいる。