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世界について知りたいとき

U.S. Presidential Election 2020 それぞれの政策で判断する

 

外交政策で比較してみよう

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復習しておきたい Electoral College System 

BBC さんありがとう !!!

 

それぞれの政策を見て判断する

NHK が分かりやすすぎるページを作っています。さすがです。見てみましょう !

人種差別

Q: 全米に広がった人種差別への抗議活動にどう対応した?

BIDEN
人種差別の解消を

▼亡くなったジョージ・フロイドさんの遺族と面会。葬儀にはビデオメッセージを寄せ、「なぜこの国では、多くの黒人が命を失うかもしれないと感じながら暮らさなければならないのか。人種差別や構造的な虐待に、今回もまた顔を背けるわけにはいかない」と述べて、構造的な人種差別の解消に取り組む決意を示した。
▼黒人などマイノリティーへの政策を多く打ち出し、人種間の経済や教育の格差を無くすために幅広の投資を行うとしている。具体的には黒人が経営する企業などへの手厚い支援策を実施するほか、低所得者でも手ごろな住宅に住めるように投資するなどと訴えている。
南北戦争当時、奴隷制を支持した「南部連合」の軍人の像や旗などを公共の場から撤去する抗議運動を支持するとともに、黒人の歴史が尊重されるよう、注力するとしている。

TRUMP
“法と秩序”の名のもと市民排除

▼「私は法と秩序を重んじる大統領であり、平和的な抗議活動を行う人々の支持者だ」と述べる一方、一部の過激化した人たちを「悪党」と呼び、「略奪が始まれば銃撃も始まる」とツイート。また、必要であれば、大統領権限で連邦軍を派遣するとも警告した。さらに、放火された教会を訪問した際、警察を投入し平和的に抗議活動をしていた人たちを警告弾などを使って強制的に排除した。
アメリカ社会での黒人に対する構造的差別については「残念ながら一部で残っているだろうが、昔に比べればかなり少なくなってきている」と述べ、問題に否定的な考えを示した。
▼自身が所有するニューヨークのトランプタワー前の五番街に、ニューヨーク市が抗議デモのスローガンとなっている「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)」の標語を描く計画を公表したとき、「この憎しみの象徴をニューヨークの最もすばらしい通りに描くことは認められない」と非難した。

ことし5月、中西部ミネソタ州で、黒人のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられて死亡した。8分46秒間、首を圧迫され続けた痛ましい動画が若者を中心に一気に拡散し、アメリカだけでなく世界規模の抗議運動に発展。新型コロナウイルスをめぐり、感染リスクの高い仕事を続けざるをえないことなどから、感染して死亡する黒人の割合が高いなど、社会の中にある構造的な差別が浮き彫りとなり、抗議の動きに拍車をかけた。

Q: 構造的な人種差別が残ると批判が出ている警察改革への対応は?

BIDEN
警察改革へ積極投資

▼警察の予算削減は支持しない考えを示している。一方で、一定の基準を満たすことを条件に、より多様な人材を採用したり、地域に信頼される警察官を教育したりするプログラムに、3億ドル(日本円にして315億円)の追加資金を投入する考えを明らかにした。
▼刑務所に収監される人を減らすための新たなプログラムを創設して、200億ドル(日本円にして2兆円余り)の資金を投入すると明言している。低所得の家庭が多い学校に、より多くの資金を投入することで、すべての子どもにひとしく教育の機会を与え、犯罪につながる要因の一つにもなっている非識字率の向上などに取り組む。

TRUMP
「99%の警察官は有能」

トランプ大統領は事件後、全米の警察の代表者らと会談し「最近、われわれが目にしたように、ひどい出来事はたまに起きるが、99%の警察官は有能で、すばらしい仕事をしている」と述べて、警察を擁護。警察の弱体化につながる予算の削減や警察組織の解体には強く反対した。
▼一方で、「アメリカ国民は法と秩序を必要としている」と述べ、警察改革の大統領令に署名。警察官の命が危険にさらされている場合を除き、拘束の際に首を絞める行為を原則、禁止することを求めている。また、対応に問題があった警察官の情報をデータベース化して共有することや、殺傷能力の低い武器の導入も検討することなどを盛り込んだ。しかし、問題の根底にある人種差別については言及しなかった。

警察改革が叫ばれる背景には、警察が人種的な偏見に基づいて差別的な捜査を行っているなどといった批判があり、黒人の逮捕者が白人よりも多いのは警察や司法制度の構造的な問題があるとしている。黒人などのマイノリティーを厳しく取り締まって刑務所に収監する警察の側に予算をつけるのではなく、犯罪の抑止につながる教育や福祉の分野により多くの予算を再配分するよう求める声が上がっている。表面的な改革にとどまらず、人種差別を解消し警察に頼らない地域社会の構築に向けた構造的な変革を求めている。

新型コロナ

Q: 新型コロナウイルス対策をめぐる主張は?

BIDEN
経済再開に慎重

▼経済活動再開に慎重な姿勢を見せ、再開に向けた8段階の計画を公表。各州に制限措置の即時解除を求めたトランプ大統領との違いを打ち出す。「誰もが検査、予防、治療を無料で受けられる態勢の整備」などを柱とした提言を発表。トランプ大統領が専門家の科学的な助言を軽視し感染拡大を招いたと批判し、政権奪還後にWHO脱退を即座に撤回する考えを示している。

TRUMP
経済回復に注力

アメリカ国内の感染拡大に歯止めがかからない状況から、初動が遅れたというみずからへの批判をかわそうと、中国とWHO=世界保健機関の責任を強調。ことし7月にWHOからの脱退を正式に通知した。一方、4月には経済活動を段階的に再開させるための指針を早々に発表し、落ち込んだ経済の回復に注力する方針を示している。

 

Q: 感染者の増加で、医療保険制度が改めて注目されている。医療保険制度改革への姿勢は?

BIDEN
新たな保険制度を提唱

▼賛成。オバマ前大統領の後継者を自認する立場から、オバマケアの拡充を目指す。さらに、国民皆保険がないアメリカでは、雇用先が提供する民間医療保険に加入するのが一般的だが、新たな選択肢として、60歳以上のアメリカ国民が対象の高齢者医療保険制度(メディケア)を作る案を提唱。10年間で7500億ドル(日本円で約79兆円)が必要になる見通しで、トランプ大統領の減税策を覆し、富裕層に増税することで財源を賄うとしている。新型コロナウイルスの影響で失業し、民間保険に加入できない人が増える中、新たな保険制度の必要性を強く訴えている。

TRUMP
オバマケアの撤廃目指す

▼反対。オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆる「オバマケア」に対し、医療支出の増加につながり、保険に加入するかしないかを決める個人の自由も奪うことになるなどとして、就任当初から撤廃を訴えている。税制改革に合わせてオバマケアを一部見直し、加入の義務を事実上撤廃したとして成果を強調。ことし6月には、オバマケアの無効化を連邦最高裁に要請した。一方、より低コストで効果的な医療保険制度を実現するとしているが、具体的な提案は示していない。

2010年、オバマ前大統領は歴代の民主党政権の悲願だった医療保険改革法、いわゆる「オバマケア」を成立させた。中・低所得者層に対する政府の補助を拡大し、保険会社が持病を理由に加入を拒否したり高額な保険料を設定したりできないよう規制を強化。新たに2000万人が保険に加入できるようになったと言われている。

対日政策

Q: 日米同盟に基づく安全保障や在日アメリカ軍に対する考え方は?

BIDEN
同盟国との関係深化を

▼アジア太平洋地域において、対中政策に重きを置く。
▼中国と対じするだけでなく、核拡散防止条約や気候変動といった分野で協力するため、同盟国との関係を重視。
▼特に鍵となる日本、オーストラリア、韓国との同盟関係をさらに深めていく。

TRUMP
防衛費の負担増を

日米安全保障条約については不公平であるとしていて、防衛費の負担増を求めている。
▼去年のG20では、「日本が攻撃されたらアメリカは日本のために戦わないといけないが、アメリカが攻撃されても日本は戦わない」と不満をにじませた。
アメリカ軍の駐留経費についても、大幅な引き上げを求めるとみられている。

日米地位協定に基づく在日アメリカ軍の駐留経費、いわゆる「思いやり予算」は、2020年度、1993億円。5年ごとに日米両政府で特別協定を結び、その内容を決めるが、現在の協定は2021年3月末までが有効期限となっており、今後、交渉が進められる。アメリカの一部メディアは、トランプ政権の高官が2019年7月、日本側の負担について、今の4倍の80億ドル(日本円で8400億円)に引き上げるよう日本側に伝えたと報じたが、これについて日本政府は否定している。

Q: 新たな日米貿易協定について今後、第2弾の交渉が始まる。貿易面での対日スタンスは?

BIDEN

今のところ言及なし。

TRUMP

今のところ言及なし。

トランプ大統領が、日米間の貿易でアメリカが巨額の赤字を抱えていることを問題視したことから交渉が始まり、新たな協定は2019年10月に署名、ことし1月1日に発効した。日本がアメリカから輸入する牛肉や豚肉などの関税は引き下げられ、日本がアメリカに関税の撤廃を求めている自動車や関連部品の扱いは継続協議となった。第2弾の交渉は、新型コロナウイルスの影響で遅れているが、交渉役となっているライトハイザー通商代表はことし6月、数か月のうちに始まると発言。アメリカの産業界からはコメなどの農産品や金融などのサービス分野で新たな市場開放を求める声も出ているが、具体的な交渉分野は明らかになっていない。

安全保障

Q: 外交・安全保障の基本スタンスは?

BIDEN
アメリカの指導力を取り戻す

トランプ大統領により失われたアメリカの国際社会での指導力を取り戻すと主張。
▼そのためにトランプ大統領がないがしろにしてきたとする同盟関係を修復し、アメリカの国際機関での存在感を高め、中国、ロシアなどの脅威に対し国際社会と協力して対処していくとする。
▼ただアメリカが外国の社会を変化させる可能性は低いという認識も示す。
▼軍事力の行使には慎重姿勢を示し、アフガニスタンなどでの「終わりのない戦争」に終止符を打つと訴える。
▼軍事面ではサイバー空間での攻撃能力の強化を掲げる。また、トランプ大統領が中断した核軍縮を再開させると主張する。

TRUMP
アメリカ第一主義

アメリカ第一主義を掲げ、多国間主義やグローバリズムに否定的。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」やTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱。
▼首脳外交による「ビッグディール(=大きな取り引き)」を好み、史上初の米朝首脳会談を実施。
▼政権は安全保障政策の柱に中国とロシアとの「大国間競争」を据える。
▼伝統的な同盟関係では、各国の経済的な負担を重視し更なる支出を要求するとともに、ドイツをはじめ各国に駐留するアメリカ軍の縮小や削減に意欲。
アメリカ軍の再建を主張して軍事予算を増額し、宇宙軍も創設。各国への軍事的な関与には消極的で、アフガニスタンやシリアからの撤退を進める。

 

Q: 中国に対しての政策は?

BIDEN
「特別な問題」

▼中国をアメリカにとっての「特別な問題」だとしたうえで、「厳しく対応しなければならない」とする。
▼中国政府による知的財産権の侵害や不公正な貿易慣習などから、アメリカの労働者を守るとして厳しい姿勢をアピールしている。
▼中でも人権問題を厳格に追及する構えを見せ、香港の問題で市民の民主的な権利を支持し、香港の自治を脅かす中国政府の当局者に制裁を科す方針を示しているほか、多くのウイグル族が不当に拘束されているとして、問題の解決に向けて国際社会の結束を図ると訴える。
▼一方、トランプ政権の関税の引き上げにより圧力を加える手法を批判し、気候変動や核拡散の問題では中国との協力の道を探る方針を示す。
▼また、世界貿易のルールづくりで中国が主導権を握ることを阻止するため、関係国と結束していく必要性を強調しているが、オバマ前政権が貿易面での中国との対抗も視野に推し進めたTPP=環太平洋パートナーシップ協定についての方針は示していない。

TRUMP
「大国間競争」

▼中国を「大国間競争」の競合国と位置づけ、政治、経済、軍事のあらゆる分野でのアメリカの優位確保を掲げて激しく対立する。
▼中国がサイバー攻撃やスパイ活動でアメリカの技術を盗み、中国に進出するアメリカ企業にも技術の移転を強要しているとして、中国に追加関税をかけて是正を強く迫っている。
▼また中国が力を入れる次世代通信規格5Gの発展を強く警戒し、中国の通信大手ファーウェイなどを欧米各国から締め出そうとしている。
▼中国の海洋進出に対する圧力も強化し、他国の領有権争いには踏み込まないこれまでの外交方針を事実上転換し、南シナ海をめぐる中国の主張を明確に否定し、対立姿勢を鮮明にしている。
新型コロナウイルスの感染拡大でもその原因は中国による隠蔽や対策の遅れにあったと主張し、中国の責任を厳しく追及する姿勢をとる。

 

Q: 北朝鮮に対しての政策は?

BIDEN
首脳会談は批判

▼非核化に向けて北朝鮮と交渉を進める必要性は認めるものの、キム委員長との首脳会談はアメリカ政府が独裁者を正当化することにつながると批判している。
北朝鮮とは同盟国や中国と協力して協議を進めると主張する。

TRUMP
史上初の米朝首脳会談

トランプ大統領北朝鮮キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長との史上初の米朝首脳会談に踏み切り、トップどうしの直接交渉で非核化を迫る方針をとる。
▼だが2019年2月の会談でビッグディールを迫るトランプ大統領に対し、キム委員長が制裁の解除を主張して事実上、物別れとなり、2019年6月の3回目の会談を最後に交渉は行き詰まっている。

 

Q: ロシアへのスタンスは?

BIDEN
対立姿勢、鮮明に

プーチン大統領のロシアは、NATO北大西洋条約機構やEU=ヨーロッパ連合の加盟国間の関係を悪化させ、西洋諸国の民主主義の基礎を破壊していると主張し、対立姿勢を鮮明にする。
▼またアメリカの選挙に不正に干渉していると主張し、警戒感を強めている。

TRUMP
関係は冷戦終結後、最悪

▼ロシアのプーチン大統領を評価し、良好な関係を築くと主張して、協力姿勢を見せてきた。
▼しかし、いわゆるロシア疑惑で批判にさらされ、政権内部や国内でもロシアへの批判や反発が強く、両国関係は冷戦終結後、最悪とも言われている。
▼政権としては30年余り米ロの核軍縮の柱の1つとなってきたINF=中距離核ミサイルの全廃条約を破棄したほか、2021年に期限を迎える核軍縮条約「新START」についても中国の参加が必要だとして延長の見通しは立っていない。

 

Q: 中東への政策は?

BIDEN
「終わりのない戦争」に終止符

▼中東での「終わりのない戦争」を終わらせる時期は過ぎたと主張。
アルカイダや過激派組織IS=イスラミックステートの掃討目的を精査し、イエメンの支援も終わらせると主張して、中東に派遣するアメリカ軍を縮小する方針を示す。
▼イランについては、トランプ大統領が離脱した核合意に復帰する姿勢を示す。
イスラエルとの関係を重視し、トランプ大統領エルサレムに移転したアメリカ大使館は維持するという考えを示す一方で、パレスチナ側とも協議する方針を示す。

TRUMP
エルサレムを首都認定

イスラエルとの関係を重視し、アメリカの歴代大統領が認めてこなかったエルサレムイスラエルの首都と認定し、実際に大使館を移転させることで、パレスチナ側の猛反発を招く。
サウジアラビアとの関係強化にも乗り出す。
▼これに対しイランには強硬姿勢をとり、国際社会の反対を押し切って、イランとの核合意から一方的に離脱。イランが国際的なテロを支援しているなどとして、制裁を一段と強化させ、国際社会から孤立させることで新たな核合意を目指しているが、見通しは立っていない。
▼中東からのアメリカ軍の撤退を目指すとしている。

 

貿易経

Q: 中国に対する巨額の貿易赤字の縮小など、どのような対中貿易政策をとるべき?

BIDEN
同盟国と協力で中国に圧力

▼不当な価格の引き下げや為替操作などに対しては、断固とした措置をとる。同盟国と協力して、ルールの順守を迫り、従わない場合には責任を負わせる。ただ、他国に高い関税をかけるトランプ大統領の手法については批判的な立場。
▼中国の不公正な貿易への対抗を念頭に、人工知能再生可能エネルギーなどの先端技術の研究開発に3000億ドル(日本円で31兆5000億円)を投資する。
アメリカ製品の購入を推奨。特に、医療関連など重要な物品の生産は、中国に依存しないよう、サプライチェーン=供給網をアメリカに戻す方針。

TRUMP
米国第一主義で高関税付加

アメリカ第一主義を掲げ、保護主義的な貿易政策を推し進める。中国からの鉄鋼製品などの輸入品に、高い追加関税をかける手法で、貿易交渉を優位に進める方針を掲げる。
新型コロナウイルスの感染拡大後には、マスクなどの医療品を中国からの輸入に頼る現状を問題だとして、製造拠点そのものをアメリカに戻すことを繰り返し訴えている。

2019年のサービスを除くアメリカの貿易赤字は、中国からの輸入減少で8529億ドル(日本円で約90兆円)と3年ぶりに減少したものの、依然として巨額の赤字は続く。トランプ氏とバイデン氏ともに、新型コロナウイルスの感染拡大は、中国が情報を隠蔽していたためだと批判。中国に対し弱腰だと見られないよう、双方とも強硬姿勢を鮮明にしている。

Q: 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で失業者が増える中、雇用をどう守る?

BIDEN
最低賃金の引き上げを

▼国内産業の強化を掲げ、アメリカ製品の購入を拡大するとともに、インフラの現代化で中間所得層の新たな雇用を生み出す。こうした施策に4000億ドル、日本円で約42兆円を投入し、最先端技術の開発分野への投資なども含め、500万人の雇用を創出する。
▼連邦最低賃金を、現在の7.25ドルから15ドルまで引き上げるとともに、労働組合を後押しする。

TRUMP
巨額の緊急経済対策で支援

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、緊急の経済対策を複数回にわたって実施。家計への現金給付や、中小企業への資金支援など、合わせて300兆円規模。アメリカの1年間の歳出の6割にも上る。
▼外国籍のIT技術者など専門職が、アメリカで就労するために必要なビザなどの発給を、2020年の年末まで停止する。今回の措置によって、52万5000人分のアメリカ国民の雇用が確保されると強調。
▼連邦最低賃金の引き上げについては、国で一律に引き上げるのではなく、各州の判断に委ねる考えを示す。

トランプ大統領は、政権発足後3年で700万人分の雇用を創出したなどとして、みずからの成果を強調。しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ことし4月の失業率は14.7%と、統計を取り始めた1948年以降、最悪の水準となった。多くの州が経済活動を再開したものの、感染の拡大は続いていて、失業率は高止まりしている。

 

Q: アメリカ経済に必要なのは、減税?それとも増税

BIDEN
増税社会保障を充実

▼企業や富裕層への増税の必要性を訴える。法人税率を現在の21%から28%まで引き上げるほか、個人所得税最高税率も引き上げるべきだと主張。増税分を社会保障などの財源に充てるとしている。

TRUMP
大規模減税で経済活性化

▼「トランプ減税」と呼ばれる大幅な減税で、経済の活性化を目指し、法人税率を35%から21%まで大幅に減税、個人所得税最高税率も39.6%から37%に引き下げた。しかし、企業や富裕層への優遇だという批判を受け、中間所得層を対象にした10%の減税案を大統領選挙直前のことし9月までに公表するとみられる。

大規模な減税を実施したにもかかわらず、アメリカのGDPの成長率は、新型コロナウイルスの感染拡大の前でも、トランプ大統領が目標とした3%には達していなかった。富裕層への減税で、貧富の差はこれまで以上に開くのではないかという指摘も出ている。失業者などへの資金支援の財源にもなる税をめぐる議論が注目されている。

移民政策

Q: どのような移民政策を掲げているのか?

BIDEN
移民国家の責任を

トランプ大統領の厳しい移民政策は「人道危機をもたらした」として非難している。また移民は、経済の面でも成長の原動力になっているとして、適切な入国管理を行ったうえでの受け入れを訴えている。
▼大統領に就任すれば、すぐに壁の建設をやめたうえで、不法移民であっても犯罪歴がないなど一定の条件を満たした人については、市民権の取得に向けた道筋をつけるとしている。「アメリカが移民国家である責任を果たす」と主張している。

TRUMP
不寛容政策

▼前回大統領選挙で公約に掲げていた「壁の建設」に象徴される厳しい国境管理や、不法移民の摘発の強化など「不寛容政策」と呼ばれる政策を推進してきた。
▼こうした強硬な移民政策は、国民の雇用を守り、治安を守るために必要だと主張。

アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」によると外国からアメリカに移り住んだ移民は全人口の14%、4400万人以上に上る。このうち1000万人以上が不法移民だとされている。こうした人たちへの対応を決める移民政策は、常に、大統領選挙の重要な争点になってきた。

Q: アメリカには、子どものときに親に連れられて不法に入国し、現地で育った「ドリーマー」と呼ばれる移民が80万人滞在している。彼らにどんな対応をとる?

BIDEN
市民権取得の道も

オバマ前政権が導入した救済制度(=DACA)を維持していくとしている。またドリーマーの市民権取得についても、認めるべきだとしている。
▼ドリーマーも学生ローンを組めるようにして、大学に進学しやすくするとしている。

TRUMP
救済制度の廃止

オバマ前政権が導入した、ドリーマーの強制送還を猶予する救済制度(=DACA)の廃止を選挙公約にしていた。実際、2017年に「憲法に違反する」として、この制度を廃止すると発表した。
▼しかしことし6月、連邦最高裁は「手続きが適正ではない」として廃止を認めない判断を示す。このため、制度の廃止には至っていない。

 

Q: 入国管理をどうする?

BIDEN
入管インフラへの投資、摘発は是正

▼壁の建設をやめたうえで、入国管理に関係するインフラへの投資を強化するとしている。
▼移民に対する強硬な摘発を批判し、不法移民であっても法律違反が軽微な人については、適切に扱われるべきだとしている。また、不法移民の親子が分断される事態を無くすとしている。
▼一部の国に対する入国制限措置を、イスラム教徒が多い国への差別だと批判。措置を撤回するとしている。
▼感染拡大に伴う、トランプ大統領による入国制限措置を「感染対策の失敗から目をそらすためだ」と批判。トランプ政権が停止しているビザの発給手続きを再開させるとしている。

TRUMP
壁の建設に、摘発の強化も

▼メキシコとの国境沿いで、不法移民対策として壁の建設を推進してきた。
▼また不法入国した移民の摘発も強化。親子が引き離されて、別々の施設に収容されるという事態を生んだ。
▼2017年には、イランやリビアといった、中東などの合わせて7つの国からの入国制限措置を表明。ことしに入って、対象国をさらに拡大した。
新型コロナウイルスが広がる中で、オンライン授業のみを実施する大学などの留学生については、入学を認めないと表明。また、感染拡大を防ぎ、雇用を守るためとして、外国人への永住権の発行を年内は見合わせるとした。

 

教育問題

Q: 学生ローンの返済に苦しむ人が年々増えるアメリカ、どう対応する?

BIDEN
大学へ通いやすく

▼2年制の公立大学の無償化、4年制大学についても所得に応じて無償化し、学生ローンに頼らずに高等教育を受けられるようにする。ローンを受けても、無利子にする。トランプ大統領が掲げる減税方針を見直すとともに富裕層の税控除の一部を見直すことで、財源を生み出すとしている。
▼年収2万5000ドル以下(日本円で約260万円)の場合、連邦政府の学生ローンの返済を免除。低・中所得者層向けの学費の補助金も増額する。
▼公的機関などの職員に適用される新たな返済計画を策定。毎年1万ドル分(日本円で105万円)のローン支払いの免除が最大5年間続く。

TRUMP
国の負担解消に重点

連邦政府の学生ローンへの助成を縮小する。
▼国などの公的機関やNPOの職員などに適用される学生ローン免除を廃止する。これまでは、期日までの支払いを10年間継続したら免除となっていたが、こうした特例を廃止する方針。1700億ドル(日本円で約18兆円)の削減が見込める。
連邦政府による学生ローンの返済は、所得に応じて4つのプランがあるが、それを1つにまとめる。これまで返済期間は、20年から25年だったが、それを15年から20年に短縮。返済期間が過ぎたあとの残高は免除される。期間短縮の代わりに、月々の返済額の上限を引き上げる。

学費が高額なため多くの学生がローンに頼っている。2017年にアメリカで学生ローンを抱えた人は約5000万人と、国民の6人に1人だ。負債総額は2018年には日本円で170兆円以上にも上る。中高年になっても返済に苦しむ。連邦政府のローンの利用者が9割を占め、滞納などによる国の財政負担の圧迫も深刻。

Q:教師の待遇改善、どう改善する?

BIDEN
助成金で給与アップ

貧困層の多い学区への助成金を3倍に増やす。助成金は、教師らの給与に充てられることを目指し、給与アップにつなげる。
特別支援学級などを担当する教師の手当を増やす。

TRUMP
待遇は問題視しない

▼教育費の削減が基本方針。教師らの待遇改善に向けた方針は打ち出していない。
▼194億ドル(日本円で2兆円余り)規模の助成金を新設する。使いみちには自由度が上がるため、教師らの給与に充てることも可能になる。

長年、給与の低さや、教員数が少ないために教師一人一人の負担が大きくなっていることなどが課題となってきた。トランプ政権が教育予算を削減したことで状況がさらに悪化したとして、教師の待遇改善を求める声が高まっている。また、教師が教材を自費で購入せざるをえない状況まで生じていて、各地で窮状を訴える大規模なストライキが起きている。

Q: 通う学校は選択できるようにすべき?

BIDEN
まずは、公立学校の立て直し

▼学校選択の自由よりも、健全な公立学校の仕組みを作ることを重視。補助金などを通じて、学区の教育格差の是正を目指す。
▼営利目的のチャーター・スクールについては、反対。

TRUMP
希望する学校へ通えるように

▼住んでいる学区によって質の高い教育を受けられる機会が奪われてはいけないと、学校選択の自由を積極的に推進している。
▼自由に学校が選択できるように、学費や交通費などに充てることができる奨学金の新設を提案。100万人の子どもたちが自由に学校を選ぶことができるようになると主張。
▼従来のカリキュラムにとらわれず特色ある教育を受けられる民間運営のチャーター・スクールの拡充を訴える。自宅での学習、ホームスクールも推進。

アメリカでは、基本的に居住地の学区内の学校に通う。教育予算は、学区内の住民税から捻出されるため、地域ごとの所得の格差が教育予算の格差に直結し、問題となっている。このため、すべての子どもには教育機会が均等に与えられるべきだという「学校選択の自由」が長年、議論されている。

その他

Q: 環境問題については、どのような対策をとっている?

BIDEN
環境保護重視で雇用創出

▼「パリ協定」にはとどまり、大統領になったら、就任後直ちに離脱を撤回すると表明。
▼気候変動対策を経済再生の一環に位置づけた「バイデン計画」を打ち出し、2050年までに、温室効果ガスの排出ゼロを目指すほか、気候変動に強いインフラの整備などを進める方針。そのために、4年間で2兆ドル(日本円で約210兆円)を投入する。また、発電所からの二酸化炭素の排出量を2035年までにゼロを目指す。
自動車産業では、税制優遇や、50万か所の充電スタンド設置などにより電気自動車の生産・購入を後押しするほか、100万人の新規雇用を創出する。

TRUMP
経済重視で雇用創出

地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を表明。
▼就任以来、毎年、環境科学や生命科学などの研究予算の大幅な削減を打ち出し、環境保護局で研究者のポストを大幅に減らした。また、温室効果ガスの排出規制を緩和した。
連邦政府環境アセスメントのプロセスは時間とコストがかかり、負担が大きいとして見直すことを発表。手続きをより簡素化し、迅速にインフラ建設などに着手できるようにすることで雇用を増やすとした。

トランプ大統領が「パリ協定」からの離脱を、国連に正式に通告したのは、2019年11月4日。実際に脱退できるのは、規定によりことしの11月4日、大統領選挙の翌日となる。中国に次いで世界で2番目に温室効果ガスを排出するアメリカ。本当に協定から離脱するのかは、大統領選挙の結果次第。

Q: 銃規制についてはどのような方針を示している?

BIDEN
銃規制に前向き

憲法修正第2条を尊重したうえで、必要な規制を行うべきと主張。殺傷能力の高いライフル銃の製造・販売の禁止や買い戻しを行うほか、銃の購入者の犯罪歴などのチェックの徹底、インターネットを通じた銃や弾薬の販売の禁止などを訴えている。

TRUMP
銃規制には慎重

▼銃の所持は合衆国憲法の修正第2条に定められた権利だとして、銃を持つ権利を擁護。共和党の有力な支持団体、NRA=全米ライフル協会が規制強化に反対していることなどから銃規制強化には慎重な立場。

アメリカで、2019年に、銃が使われた自殺や事件などで命を落としたのはおよそ4万人。銃の乱射事件も後を絶たず、4人以上の死傷者が出た事件は、2019年でおよそ400件、過去6年で最悪を更新した。事件が起こるたびに、銃規制の動きが高まる一方で、銃を保有する権利を定めた合衆国憲法を尊重するべきだとの主張も多く、世論は二分されている。

Q: LGBTなど性的マイノリティーの人々に対して、どのような政策を打ち出している?

BIDEN
LGBTの権利を拡大

トランスジェンダーの人たちの軍への入隊を禁止したトランプ大統領の措置を撤回するなど、性的マイノリティーの人たちが公民権法の下、差別されないよう保護し、権利を拡大する政策を打ち出している。
▼差別を受けやすいとされる職場や学校、病院などで、差別されることがないよう権利を保護し、LGBTコミュニティーを支援するために必要な情報を収集すると主張。特に有色人種のLGBTの人たちが差別されないよう保護する。

TRUMP
LGBTの権利拡大に消極的

▼支持基盤の保守層は、LGBTの権利を認めることはキリスト教の伝統的な性の道徳観に反すると主張し、LGBTの権利を抑制する政策を展開。大統領になる前はLGBTの権利の保護も訴えていたものの、就任後は一転して権利を認めない政策を打ち出している。
▼心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人たちの軍への入隊を禁じたほか、医療現場において差別されない権利をほごにしたり、学校で自分が望む性別のトイレを利用することを認めた指針を破棄したりした。

2020年6月、アメリカの連邦最高裁判所は、LGBTなど性的マイノリティーの人たちに対する職場での差別的な扱いは公民権法に違反するという判断を示し、大きな議論を呼んだ。連邦最高裁が2015年に下した同性婚を認める判断に続き、LGBTの権利を保護する歴史的な判断となった。LGBTは、性的マイノリティーの人たちへの個人の権利や自由の問題なのか、それとも宗教に基づく信仰の自由や発言の自由を妨げるのか、論争は続いている。

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