Presidential Election 2020: Exit Poll ~ 出口調査を「読む」のはおもしろい ! 今回の選挙も見ごたえあります。
2020/11/20 現在の集計結果。
CNN は今回かなり慎重に塗り絵をしていました。そういう慎重な報道も評価できると思います。
アリゾナはかなり僅差ですね・・・しかしアリゾナが赤になったとしても、選挙人の票はそれでもバイデンが過半数を占めることになります。CNN マップをクリックしてみましょう。
Rust Belt
前回、赤になっていたウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアは青にもどってきました。今回の勝敗をおおきく左右しましたね。
アメリカ国営放送 VOA のマップは歴史的な票の流れを可視化してくれています。
Bible Belt
上の VOA マップのグレーの州 GA を CNN マップで拡大してみましょう。相変わらず強固な共和党の支持基盤である南部と中西部ですが、南北戦争時も南部の強固な砦であったジョージア州が、なんと青に !!! 近年、フロリダなどが完全に赤い州になりつつある中で、ジョージア州ではなにが起こっているのでしょうか。興味深いところです。
英国国営放送 BBC のまとめもわかりやすい。
Congress Election 2020
Senate (上院)
うわーーー、あと2票で、これも民主党と共和党どちらが勝つか、とても気になりますね。( これは後に民主党が与党になりました。)
House of Representatives (下院)
下院では民主党が続けて与党になりました。
Exit Poll (according to CNN)
By Age
年齢別。これはいつもこんな感じです。実は日本と真逆になるのはこれ。
アメリカでは若い人たちがリベラルで、50代を境界にして保守の傾向が高くなりますが、日本ではこれが真逆になります。
日本では若い人たちは圧倒的に保守を選ぶ傾向にあり、年代を重ねるにつれてリベラルの人が増えてきます。そして70代ぐらいでは保守が多くなるのですが、その比率で言うと、20歳前後の若者たちと70歳の高齢者がちょうどおなじくらいの保守率になるわけです。
前回あった京都市長選では、30代が最もリベラルになり、後の推移はアメリカなどと同じ感じなので、日本の選挙で圧倒的に保守が強いのは、若者層が保守側にまわってくれるというのがあるかもしれません。
京都市長選で興味深い結果、18~19歳がすべての年代で最も保守支持、70代以上とほぼ同じ傾向を示す - Sophist Almanac
年代別の点で、アメリカのデータと真逆になっていく現象はとても興味深いのですが、ひとつには日本では民主主義と公民権教育が限定的 (十分ではない) ので、日本では個人が生きていきながら意識して学んでいくことで選択肢を増やしていかなければならない。それには、やはりものすごく時間がかかる。30代から40代になってやっと政治に関心を持ち、意識的にニュースを見るようになったという人が日本では圧倒的に多い気がします。歴史とアクションとしての民主主義をすっとばし、形式主義的に教える学校の民主主義教育の在り方が問われているのかもしれません。
日本は若者ほど「政権支持」「トランプ支持」 世論調査で見る現状維持志向 - 毎日新聞
毎日新聞と社会調査研究センターが今月7日に実施した全国世論調査では、世代間の意識の差がくっきりと表れた。内閣支持率は若い世代ほど高く、年齢が上がるにつれて減少。菅義偉首相による日本学術会議の会員候補の任命拒否は「問題とは思わない」との回答が若年層ほど高かった。米大統領選では、若者ほどトランプ大統領が当選した方が日本にとって好ましいと答えた。
社会調査研究センターの11月7日の調査結果内容はこちらから見ることができます。
社会調査研究センターの日本の全国世論調査をグラフにしてみると、その違いはとても分かりやすいですね。
By Race
これも興味深くて、いつもこんな感じではあるんですが、実は今回の二期目の選挙で白人の共和党支持のパーセンテージが 58% と平均よりも高いというのがわかります。つまり、トランプ選挙で表向きはトランプを支持していない身振りではありながら、実際にはトランプに票を投じる「隠れたトランプ支持者」というのは、トランプ選挙が、本音の意味で、「人種」の選挙であることを意味しているのかもしれません。
By Gender
これもジェンダーでくっきりと支持がわかれていて、興味深いですね。
By Area
マイノリティーも多い都市部はリベラル、というのは当然なのですが、中産階級 (富裕層) の多い郊外の住宅街はリベラルが強い、というのが興味深いですね。
By Income
年収一千万以上の人たちはトランプ支持が多い。そりゃお金持ちの税制優遇してたらこうなりますよね。
(トランプ支持したい理由) 法人税や所得税が引き下げられることで、住民の負担が軽減されるから。
2020年まなび村の大統領選挙 (2) ~ それぞれ有権者の声
という意見もありましたが、
- 2018年、億万長者は収入の23%の連邦税、州税、地方税で支払いましたが、平均的なアメリカ人は28%を支払っています。American billionaires paid less taxes in 2018 than the working class - Business Insider
私の方がトランプより所得税めっちゃめちゃ払ってる、ってことは、私がトランプより富豪であるということを意味してるのでしょうか。← なわけない !!!
NY マンハッタンの一等地にあるトランプタワーのペントハウス。
フロリダの「別荘」
By Education
さらに詳しく見ると・・・
大富豪はトランプ推しだけど、高学歴になるとリベラルになる。これは矛盾しているようで、一貫してこうなってる。分水嶺は Bachelor's degree 四年大学の学位。そこで分かれてくる感じですかね。
by Religion
プロテスタント系、トランプ支持。
宗教は最高の倫理だと語っていたけれど、米国史上最も物議を醸しだす大統領を支持している最大の支持母体がキリスト教の福音派 (Evangelical) というのも、実になんというか味わい深い現象です。
これはもっと突っ込んだ分析をしてみたい。
白人の福音派のなんと76%がトランプ支持。
Q: White born-again or evangelical Christian?
福音で born-again 生まれ変わった (=新生) という福音派系のほとんどがトランプ支持。生まれ変わった世界でトランプが大統領なら、ちょっと自分なら引くな・・・。日本でもこれらのアメリカの福音派につながる一部の右派教会の牧師が、今回でもトランプは選挙に勝っているというメッセージを youtube で熱心に拡散しているので要注意。
しかしこれでも福音派の支持は5%の減少といわれている。2016年の選挙では、81%の福音派がトランプを支持したのだから。
出口調査によると、福音派の有権者は、選挙を決定するために少数の主要な州で十分な数のトランプ大統領から離れました。ニューヨーク・タイムズの出口調査の福音主義者からトランプの全国のサポートは今年76%。2016年の81%から低下したことを示しています。エジソンの出口調査によると、バイデンは福音派の投票の24%を獲得しました。これは、2016年にヒラリークリントンが獲得した投票よりも約400万票多いことです。
Trump lost support from evangelical Christian voters cost him 2020 election - Business Insider
by Issues
わかりやすい !
By Issues - Racism
人種問題に関して、大きな問題ではないという層が 28% もいる、というのが逆に人種問題がアメリカで大きな問題なのだということが表れていて興味深い数値です。
By Issues - Covid 19
ここまではっきり分かれますか・・・( ;∀;)。コロナを封じ込めるより、経済優先の方が重要、ってのは気持ちは理解できるのですが、実質問題、コロナを封じ込めないと経済は再建できないし・・・。
By Issues - Obamacare
オバマケアの撤廃を望む声がこれだけあっても、実際にはトランプさんは四年間、撤廃しなかったわけですが。
いやー、今回の出口調査も、
なかなか見ごたえありましたね。
日本の選挙でも詳しく見ていくと興味深いと思います。
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