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バイデン疑惑の疑惑を読んでみる ソースの味わい ~ 『講談社』の記事と『フォーブス』の記事の違いを読む

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保守系タブロイド紙の記事が議論をよぶ。

 
まず、情報はソースをみる。鉄則ですね。

 

タイトルは似てるけど根本的に異なる講談社の記事とフォーブスの記事 

日本のメディアは「そのまま流し」が多いので、読者の側がソースの検証やファクト・チェックしなきゃいけない、こういう状況はもう少し改善されるといいのですが・・・。

 

まず検索してみましょう。

 

「バイデン疑惑」講談社の記事を読んでみる

講談社 現代ビジネス10月25日【米大統領選】ヒラリー疑惑もバイデン疑惑も「報道しない自由」って… FBIよ!SNSよ!おまえもか?(大原 浩) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

 タイトルは本体を表す。既にタイトルが loaded (誘導的) なものは粗悪記事のおそれありなので要注意です。 

 

まず、講談社の「現代ビジネス」は、太平洋戦争の歴史記事やミリタリー関連記事など、とても良い記事が揃っているのですが、最近、目が点になるような質の悪い記事も多く、かなり残念に思っています。この大原浩という人は経済金融専門のライターのようですが、その方の各所の「評判」はさておき、すこし冒頭だけ見てみましょうか。

 

2009年8月の選挙で、鳩山氏が率いる民主党が史上最多の308議席を獲得して政権交代が決定した。当初は、大いなる期待を持って迎えられた民主党政権であったが、現在では多くの国民から「悪夢の民主党時代」と評される暗黒時代が続いたのは読者も良くご存じだと思う。多くの国民が、現在では「投票所での選択を間違えた…」と後悔しているに違いない。

 

11月3日に投票日が迫った米国大統領選挙では、世論調査で依然バイデン有利との情報がオールドメディアを中心に流され続けている。・・・

米国のオールドメディアは、日本で言えば、モリ・カケ、サクラ並みの根拠のない「疑惑」で、トランプ大統領の弾劾裁判にまで突き進んだ民主党の言い分をうのみにした記事を乱発した。

【米大統領選】ヒラリー疑惑もバイデン疑惑も「報道しない自由」って… FBIよ!SNSよ!おまえもか?(大原 浩) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

 

まったくバイデン疑惑とは関係のない書き出しから始まり、「悪夢の○○党時代」「暗黒時代」という党派的 (partisan) な誘導表現から始まり、実際に公文書偽造を強いられた公務員が自殺にまで追い込まれているというのに、森友・加計・桜を見る会の疑惑を「根拠のない疑惑」と断言するあたり、タイターの良識を疑わざるおえない感じでびっくりですが、

 

トランプがバイデンとの選挙戦を有利にするためウクライナに圧力をかけた疑惑も、根拠なし、としながら、そのウクライナ疑惑の背景から派生してきたバイデン疑惑の「根拠」は疑問に思わないようです。

 

またオールド・メディアは「報道しない自由を駆使」「FBIも反トランプ」等、ソースがなにひとつ引用されておらず、憶測 (speculation) と典型的な右派系の用語 (jargon) がずらりと並び、まっとうな記事のクリタリアを満たしていません。これでは、「タブロイド紙から UFO の証拠写真がでたのに FBI はなぜ捜査しない !? ゆえに宇宙人とFBIはつるんでる」といった娯楽的陰謀論と変わりありません。

 

ただ UFO の「証拠写真」は夢のある話だけど、大統領選挙直前のデマ記事は、夢があるどころか、ジャーナリズムを愚弄し、民主主義を破壊する行為です。2016年の大統領選挙時も、日本国内でも、とほうもない偽情報が大量に流されていたことは検証されるべきですが、問題は、講談社ともあろう出版社が、このような記事すら良質な記事とまぜつつ、かなりの頻度でリリースしているということです。

 

話は戻りますが、なぜ、この疑惑が手放しで報道されないのか。ファクトが裏取りできないまま、憶測 (speculation) だけで書いては、三流タブロイド紙陰謀論保守系ネット記事の無責任論、と言われても仕方ありません。

 

「バイデン疑惑」米経済紙フォーブスの記事を読んでみる

一方、良質な記事の多い経済紙『フォーブス』の記事を日本語版で見てみましょう。

 

タイトルは、先ほどの講談社の記事とほぼ同じですが、その記事の中身は月とスッポンほど違います。これが、まっとうなジャーナリズムの記事ですよ、という格の違いをまざまざと私たちに示しています。

 

forbesjapan.com

 

「バイデンの疑惑」を米国の大手メディアが追求しない理由

Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)10月24日

米大統領選の投票日が間近に迫る中、トランプ大統領保守系タブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」が掲載した、ジョー・バイデンの家族に関するスキャンダル記事に注目し、それらを積極的に取り上げないメディアを非難した。

ポスト紙は独自に入手したEメールやテキストを引用し、バイデンの長男のハンター・バイデンが、父親の影響力を利用し、ウクライナと中国で事業を行っていたと指摘した。同紙はさらに、バイデン候補がそこから利益を得たと主張した。

ポスト紙はさらに、ハンター・バイデンの個人的な写真を紙面で公開し、彼が薬物中毒の問題を父親のジョー・バイデンに相談したと報じた。ただし、問題の記事を執筆した記者は、情報源の信頼性に疑問を呈し、クレジットをあえて掲載しなかった模様だ。

タブロイド紙とはいえ、実際に記事を執筆した人物は信憑性を懸念し、執筆者名の掲載を拒否したという。書いた本人が信憑性を懸念するような記事って、どんな記事だろ。


問題のEメールやテキストメッセージは、トランプの顧問弁護士のルディ・ジュリアーニが入手したハードディスクに格納されていたものだが、彼は証拠を提示せずに、「そこには大量の未成年少女の写真が含まれていた」と示唆した。

→ 注・証拠も出さず陰謀論だけ煽るなんてすごいですね。民主党小児性愛陰謀論ではピザゲートで襲撃事件までおこしているのに・・・。



ポスト紙は、この記事が事実である根拠をほとんど提示しておらず、入手したファイルが本物であるかどうかを確認したか否かも不明だ。彼らが報じたスキャンダルは、個別のEメールの断片を引用し、推測を加えたもので、明確な証拠を示さずにジョー・バイデンと息子の疑惑を伝えている。

 

他の大手メディアも、ファイルが本物であることを確認していない。

ポスト紙の兄弟企業であるフォックス・ニュースは、ハンター・バイデンの元ビジネス・パートナーであると主張する人物にインタビューを行い、ポスト紙の報道の一部を確認しようとしたが、彼は確固たる証拠を示さずに、バイデンが息子のビジネスに関与したと話すのみだった。

問題のファイルを入手した経緯についてポスト紙は、昨年デラウェア州のコンピューター修理工場に残されたノートパソコンから発見されたもので、その店のオーナーがハードディスクのコピーをFBIとジュリアーニに渡したと主張している。

しかし、専門家の多くはこの話の信頼性に疑問を抱いており、店のオーナーがトランプ支持者だったとの報道もある。

フォーブスはこの件でジュリアーニにコメントを求めたが、回答は得られていない

海外からの選挙介入の可能性


バイデン陣営は、この報道を「中傷キャンペーン」と呼び、バイデンが息子のビジネス関係者と会ったことを否定した。しかし、彼らは特定の事柄について議論することを避けており、ポストが入手したファイルが本物であることを否定していない。フォーブスは、バイデン陣営にコメントを求めたが、回答は無かった。

トランプと彼の支持者らは、バイデン家の汚職疑惑を何年もかけて訴えてきた。しかし、共和党上院議員もバイデン親子とウクライナとの繋がりを調査したが、有力な証拠は発見出来なかった。

一部のオブザーバーらは、ポスト紙が入手したファイルが、外国からの選挙への介入活動に関連するものかもしれないと述べている。

報道によると、FBIはこの説を調査中とされるが、ジョン・ラトクリフ国家情報長官は先日、この見方を否定した。米国の情報当局は昨年末、ロシアがジュリアーニを利用して偽情報を広めようとしているとトランプに警告を行ったが、トランプはその警告を無視したと報じられた。

 

このようにして、海外のメディアは、ちゃんと情報の裏を取ることを怠っていません。憶測ばかりで持論を展開する講談社の記事との違いはここにあります。

  • 「フォーブスはこの件でジュリアーニにコメントを求めたが、回答は得られていない。」

アノン陰謀論を煽るように、大量の未成年少女の写真が含まれていたと語りながら、その根拠を示さないのでは、ちょっと悪質すぎませんか。

 

以上のように、「バイデン疑惑」の話は今に始まったことではありません。

 

これこそが、ロシア疑惑に続く、トランプ大統領の「ウクライナ疑惑」として、トランプ大統領の弾劾裁判にまで発展したものです。

 

つまり、わかりやすくいうと

 

バイデンの疑惑の疑惑事件・・・

っつと、ぜんぜんわかりやすくないか (笑)。

 

2016年の大統領選挙戦と結構同じパターンで選挙の(偽)情報戦略を他国に依頼 !? というだけではない、今回は一刻の大統領の権限を使って他国に圧力をかけていた !? と、かなり深刻です。

 

【解説】 トランプ氏とウクライナの電話に何が? ウクライナ疑惑とは - BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領に対する米下院の弾劾調査がついに始まることになった。それの原因となったのはロシア疑惑ではなく、ウクライナ政府が関係する真新しい疑惑だ。

トランプ氏をめぐっては、外国政府への協力依頼、大統領選で政敵を不利にしようとする行動、法律違反の疑い、不道徳な行動……などなどが、取りざたされている。・・・中略

 

トランプ氏とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は7月25日、電話で会談した。その中でトランプ氏は、バイデン親子を捜査するよう圧力をかけたとされている。さらにトランプ氏は、連邦議会が承認したウクライナへの軍事援助2億5000万ドルについて、同じ会話で触れたとされている。トランプ政権はこの援助金の支払いを、9月半ばまで先延ばしにしていた。

 

米紙ワシントン・ポストは23日、トランプ氏がミック・マルヴェイニー首席補佐官代行に対して、ウクライナとの電話の少なくとも1週間前に、ウクライナへの軍事援助4億ドルの供与を停止するよう指示したと伝えた。

 

タブロイド紙の執筆者ですら、その文書の出所が怪しいと懸念して名前の掲載を拒絶したするような記事って・・・。

 

米紙NYタイムズによると、実際に記事を執筆した人物は信憑性を懸念し、執筆者名の掲載を拒否した。また、ニューヨーク・ポストの他の記者たちも、情報源の信憑性と投票日直前に記事が出るタイミングに疑問を持った。そのため、最終的に記事の執筆者として名前を入れられたのが、記事とは無関係な女性とトランプ氏の友人であるFOXニュースの司会者ショーン・ハニティー氏のショーのアソシエイト・プロデューサーを務めた後、4月から同紙で働き始めた女性だったという。

「トランプ氏は終わらない」元側近バノン氏が暗躍 “バイデン氏メール・スキャンダル”の信憑性(飯塚真紀子) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

保守系産経新聞の記事から。トランプ大統領にお金の流れも。

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ウクライナ疑惑 トランプ氏顧問弁護士の人脈に新たな火種 - 産経ニュース

 

そして今回のナゾ情報は、まったくこのお膳立ての上にでてきた情報なのですが、今回の「疑惑」の疑惑はさすがにウクライナ筋から流れてきたわけではないというところも興味深いですね。

 

これまた、とっても香ばしいもので、バイデン疑惑の「メールや写真」等は、ウクライナ国内からではなく、デラウェア州トランプ支持者のガレージの中から発見され、トランプの顧問弁護士ジュリアーニに渡されたものなのです。

 

実に味わい深いですよね ! 

 

時間が許すなら、疑惑の疑惑、じっくりとソースをたどっていくのも楽しいと思います。

 

また、2016 年のトランプ選挙以降、いかに世界のメディアが偽情報に抵抗力をつけたのか、他社の記事もじっくり読んでみたいところです。

 

  

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